仏教。
毎日過酷な修行に励む人から、仕方なく葬儀や法事に参列するだけの人まで、その関心や関わりの深さは人それぞれで、大きな幅があると思われる。
ただし、釈迦(しゃか)の発した(とされる)言葉は長い歴史の中で、日本人のメンタリティや思考の基礎部分にまで浸透しており、仏教用語や仏教起源の表現をそれとは気付かないうちに、日常会話の中で使っている事があるので、まとめてみたい。
【ア行】
- 愛(あい):サンスクリット語、トリシュナーの漢訳
- 挨拶(あいさつ) :修行の進み具合を試す、一挨一拶(いちあいいっさつ)の略
- 阿吽/あうん <用例>あうんの呼吸
- 悪魔(あくま):サンスクリット語、マーラの漢訳
- 阿闍梨餅(あじゃりもち):京都のお菓子。阿闍梨は僧の職位あるいは地位
- あなた/彼方:原義は悟りの世界 ➡ 彼岸 ➡ あちら側 ➡ 敬意を込めた呼びかけ
- アバター:サンスクリット語で、化身、権化(ごんげ)を意味する「アヴァターラ」より
- 阿鼻叫喚(あびきょうかん):地獄に絶え間なく響く叫び声の事で、災害や戦災の悲惨な様子を表す言葉に派生。
- *『阿鼻(あび)』は、8ランクに分けられる地獄の中で、最下層に位置すると言われている
- あまのじゃく/天の邪鬼
- 阿弥陀にかぶる/掛ける(あみだにかぶる/かける)
- あみだくじ/阿弥陀籤
- 有難い(ありがたい):地球上に生を受ける事の難しさ、特にその中で人として生まれる確率の想像を絶する低さを指す言葉
- 庵(あん/いおり):僧侶の住居の事で、蕎麦屋や和菓子店などの屋号にも派生
- <用例>長寿庵、芭蕉庵、叶匠壽庵、竹隆庵岡埜
- 暗証(あんしょう):原義は、仏の教えを自分勝手に解釈すること
- 石の上にも三年(いしのうえにもさんねん):暑いインドでは少しでも涼しく瞑想したり座禅を組めるよう石の上に乗るのがポピュラーだったらしい
- *諸説あり
- 以心伝心(いしんでんしん)
- 頂きます/いただきます:食事=動植物の命をもらう行為であると言う考え方から
- 韋駄天/いだてん:足が速い人の別称。元々は仏法を守護する諸神のひとつ。
- 一音成仏(いちおんじょうぶつ):尺八の演奏における究極のレベルの事で、たった一音でその表現は可能(らしい)
- 一念発起(いちねんほっき)
- 一心不乱(いっしんふらん)
- 衣鉢を継ぐ(いはつをつぐ)
- いろは歌:『諸行無常』が中核となっている。
- 【派生】イ短調(音楽用語)、社会人のイロハ、劇場(伝統芸能系)や寄席の列番、マイ77形(マったく大きいイっとうしゃ77型)
- 因果(いんが)/因果応報(いんがほうおう)
- 因縁(いんねん)
- インゲン豆/隠元豆:僧侶の名より
- 嘘も方便(うそもほうべん)
- 内弁慶(うちべんけい):僧兵、武蔵坊弁慶より
- 有頂天(うちょうてん)
- 馬の耳に念仏(うまのみみにねんぶつ)
- うやむや/有耶無耶
- ウロウロする:煩悩が漏れ出している状況、すなわち『有漏有漏』より。
- 云々かんぬん/うんぬんかんぬん:不動明王の真言(しんごん)「のうまく さんまんだ ばさら だん せんだ まかろしゃだ そわたや うんたらたかんまん(真言宗系)」あるいは「なまく さまんだ ばさらなん せんだ まかろしゃな そわたや うんたらた かんまん(天台宗系)」の末尾(しか聞いても覚えられない)より
- 永劫(えいごう)あるいは未来永劫(みらいえいごう)
- 縁起(えんぎ)
- <派生>縁起物、縁起が良い/悪い、縁起でもない
- エンマコオロギ/閻魔蟋蟀
- えんま帳/閻魔帳
- エンマムシ/閻魔 *エンマムシモドキ、エンマムシダマシもお忘れなく
- 演説(えんぜつ):元々は仏教の教えを説くこと
- 往生(おうじょう)
- 大袈裟(おおげさ)
- お陰/お陰さま(おかげ/おかげさま)
- 拝み倒す(おがみたおす)
- 拝み虫(おがみむし):カマキリの別称
- おシャカ(にする、になる)
- お題目を唱える(おだいもくをとなえる):建前ばかりを言うこと
- お陀仏(おだぶつ)
- 億劫(おっくう)
- お勤め(おつとめ):勤行(ごんぎょう)の(日常的または一般向けの)言い換え
- お鉢が回る(おはちがまわる):托鉢(たくはつ)の僧がやって来る事➡何らかの施しをしなくてはいけない状況➡面倒だが断れない役割が巡ってくる事
【カ行】
- 開眼(かいがん) *本来の読みは「かいげん」
- 外面如菩薩内心如夜叉(げめんにょぼさつないしんにょやしゃ)
- 懐石(かいせき)
- ガキ/餓鬼
- 覚悟(かくご)
- 学生(がくせい):読みは『がくしょう』で、原義は仏教を学ぶ者
- 駆け込み寺(かけこみでら)
- 仮説(かせつ):読みは『けせつ』で、原義は仮の指定や設定。施設(せせつ)と同義。
- ガタピシ:我他彼此より。自分と他人、あれとこれの対立。
- 喝(かつ)
- <用例>「かーつっ!」と大声で人に向けて言う
- <派生>一喝する(いっかつする)、喝破する(かっぱする)
- 合掌造り(がっしょうづくり):和風建築様式のひとつ
- 合掌捻り(がっしょうひねり):相撲の決まり手のひとつ
- 葛藤(かっとう)
- 果報(かほう)
- <用例>果報者。果報は寝て待て。
- 我慢(がまん):サンスクリット語、マーナの音訳
- ガムシャラ:我無性から?
- *諸説存在するが、『我武者羅』は当て字
- がらんどう:伽藍堂(がらんどう)より
- <派生>ガラガラ、ガラーン
- 勧進(かんじん)
- <派生>勧進相撲。勧進帳。
- 堪忍/堪忍袋(かんにん/かんにんぶくろ)
- 観念(かんねん):哲学用語に転用されている
- 観音製本(かんのんせいほん)
- 観音開き(かんのんびらき)
- 勘弁(かんべん)
- 甘露(かんろ) <用例>甘露煮、甘露水、甘露酒
- 聞いて極楽見て地獄(きいてごくらくみてじごく)
- 黄色い声:お経で高い声で読む部分に黄色く印がついていた事から
- *別説あるが、お経に音楽的要素がもともと多いことは事実
- 鬼手仏心(きしゅぶっしん)
- 北枕(きたまくら)
- 愚痴(ぐち):仏教における三大煩悩(三毒)を構成する貪・瞋・癡(とん・じん・ち)のうち、『癡(痴)』に由来
- 紅蓮(ぐれん):紅色の蓮。熱い炎の色。紅蓮地獄の略称。
- 玄人(くろうと)⇔素人(しろうと) :僧侶=黒衣(こくえ)を着る人から
- *囲碁由来説など諸説あり
- 華厳(けごん)
- 袈裟がけ(けさがけ):バッグなどを肩から斜めに掛けること
- 袈裟固め(けさがため):柔道の寝技/押さえ技
- 袈裟切り(けさぎり)
- 外道(げどう)
- 玄関(げんかん):本来の意味は、玄=深い悟り、関=関門
- 見解(本来の読みは「けんげ」):元々は物事の真理を見極めること
- 業を煮やす(ごうをにやす)
- 弘法筆を選ばず(こうぼうふでをえらばず)
- 弘法も筆の誤り(こうぼうもふでのあやまり)
- 高野豆腐(こうやどうふ):真言宗最大の総本山である高野山に由来
- 極楽(ごくらく)
- 虚仮(こけ) <用例>コケにする
- 後生大事(ごしょうだいじ)
- 小僧(こぞう):年少の僧侶
- <派生>いたずら小僧、鼠小僧、膝小僧、一つ目小僧
- 御馳走/ごちそう:釈迦のために韋駄天(足が速い)が走り回って食べ物を集めたと言うエピソードが由来
- 乞食(こつじき)
- 子煩悩(こぼんのう)
- 五輪(ごりん):万物の構成要素とされる、地・水・火・風・空
- 言語道断(ごんごどうだん):本来は、究極の真理を言葉で表現する事が不可能であると言うこと
- 【言葉の構成】『言/語/道(言う事の三形態)』+『断(やめる)』
- 根性(こんじょう)
- 金輪際(こんりんざい) <例>金輪際悪さをしません
【サ行】
- 座蒲団/蒲団/布団(ざぶとん/ふとん/ふとん):もともとは座蒲(ざぶ)と言う蒲(ガマ)の穂を詰めた座禅用のクッションが語源
- 作務衣(さむえ):作務(禅寺における掃除を中心とした環境整備活動で、作務衣はその際に着る衣服。
- 慚愧/慙愧(ざんき)
- <用例>慚愧に堪えない
- 懺悔(ざんげ)
- 三人寄れば文殊の知恵(さんにんよればもんじゅのちえ)
- 三昧(ざんまい) <用例>贅沢三昧、読書三昧、釣り三昧
- 三密(さんみつ):仏の教えに三つの側面から近づくこと
- *『新型コロナウイルスに感染しない為に避けるべき三要素』と言う意味へ2021年頃転用された
- 自覚(じかく)
- 四苦八苦(しくはっく):この世において逃れ難い四大苦とそれに続く四種の苦で合計八苦
- 自業自得(じごうじとく)
- 地獄(じごく) <用例>アリジゴク、通勤地獄、受験地獄、地獄耳
- 地獄で仏に会ったよう/地獄に仏(じごくでほとけにあったよう/じごくにほとけ)
- 獅子身中の虫(しししんちゅうのむし) *仏典より
- 施設(しせつ):読みは『せせつ』で、原義は仮の指定や設定。仮説(けせつ)と同義。
- 七難(しちなん) <用例>色の白いは七難隠す
- 実際:仏典より。原義は『物事の際(極み)』。
- しっぺ/しっぺ返し:座禅の時に叩く胴道具の竹篦(しっぺい)より
- 七宝(しっぽう) <用例>七宝焼き
- 四天王(してんのう):原意は仏法を守護する主要な四神で、四強やビッグ4(フォー)の意味に派生。
- 慈悲(じひ)
- 釈迦頭(しゃかとう/シージャトウ):南国産の果物。別名シュガーアップル
- 釈迦に説法(しゃかにせっぽう)
- 邪険(じゃけん)
- 邪道(じゃどう)
- シャリ:仏舎利(釈迦の遺骨) ➡ 求める人が多過ぎたため細かく分けられた。) ➡ 米粒大の白くて小さな物 ➡ 白飯
- シャバ/娑婆
- 柔軟(じゅうなん) *原義は、仏の教えに対して素直な姿勢
- 自由/自在(じゆう/じざい)
- 宗旨替え(しゅうしがえ):①信仰宗派を変える事 ②主義、趣味、嗜好などを変える事
- 宿命(しゅくめい) *本来の読みは「しゅくみょう」
- 寿限無(じゅげむ):落語の有名なネタ。寺が舞台で、仏典から引用が複数含まれている。
- 数珠つなぎ(じゅずつなぎ)
- 修羅場(しゅらば):阿修羅の"修羅"の部分が歌舞伎用語として使われた
- 松花堂弁当(しょうかどうべんとう):松花堂昭乗(しょうかどう しょうじょう)と言う僧侶の名前(および草庵名)に由来
- 正直(しょうじき):元は『方正質直(ほうしょうしつじき)』で、究極の真理に忠実であること
- 荘厳(そうごん):本来の読みは『しょうごん』で、原義は、仏像、堂内、仏壇などが豪華に飾られている状態や様子の事。
- 精進(しょうじん)
- 精進料理(しょうじんりょうり)
- <派生>精進揚げ
- 性根(しょうね/しょうこん)
- 正念場(しょうねんば):『正念』が歌舞伎に採り入れられ、最も重要な場面を指すようになった
- ショウリョウバッタ/精霊飛蝗
- 浄瑠璃(じょうるり):『人形浄瑠璃』の語源だが、本来は浄土の様子を表す言葉。
- *瑠璃は、サンスクリット語の ヴァイドゥーリヤの漢字による音写で、具体的にはサファイヤを指す。
- 所詮(しょせん) :仏典の結論の事で、もともとは否定表現と組み合わせて使われる言葉ではない
- 所得(しょとく)
- 知らぬが仏(しらぬがほとけ)
- 素人(しろうと)⇔玄人(くろうと):黒衣(こくえ)を着る僧侶に対しての一般人から
- *囲碁由来説など諸説あり
- 真空(しんくう) *現在は学術・技術用語
- 心頭滅却すれば火もまた涼し(しんとうめっきゃくすればひもまたすずし)
- ずだ袋:漢字で頭陀袋と書き、元々は僧侶が外出時に持ち物を入れて運ぶためのもの。
- 図に乗る(ずにのる)
- *『調子に乗る』は邦楽(三味線?)用語
- 世間(せけん):破壊や迷いから逃れる事が出来ない現世を指す
- 説教/お説教(せっきょう/おせっきょう)
- 殺生(せっしょう) <用例>不殺生。そんな殺生な・・・。
- 刹那(せつな):0.000000000000000001秒(10のマイナス18乗秒)
- *通常は"一瞬"や"瞬間"の意味で使われる
- <用例>○○しようとした刹那。刹那主義。刹那的。
- 線香花火(せんこうはなび)
- ぜんざい/善哉:小豆を甘く煮た料理を指すのが一般的だが、本来は賛成や賞賛を示す時に発する言葉で、善哉を「よきかな」と読む事も可
- 先達(せんだつ/せんだち)
- 禅問答(ぜんもんどう):禅宗における対話型の修行。転じて、二者間で会話が噛み合わない様子。
- 荘厳(そうごん/しょうごん):仏像や仏堂を美しくおごそかに飾ることで、本来の読みは『しょうごん』
- 僧帽(そうぼう):トリカブトの別名
- *『僧』と名がついているが、キリスト教の聖職者が着用する物の翻訳(らしい)
- 僧帽筋(そうぼうべん):医学用語。
- *『僧』と名がついているが、キリスト教の聖職者が着用する帽子に由来する模様
- 総本山(そうほんざん)
- <類似する言葉>大本山(だいほんざん)
- 袖すり合うも他生の縁(そですりあうもたしょうのえん)
【タ行】
- 第一義(だいいちぎ):ある言葉が複数の意味を持つ場合、その中の代表とされる物で、仏教では究極の真理を指す。
- 醍醐味(だいごみ)
- 退屈(たいくつ):仏門の修行を途中でやめること
- 大衆(たいしゅう) *本来の読みは"だいしゅ”
- 大丈夫(だいじょうぶ)
- 台無し(だいなし):仏像の載っている台が欠損/紛失する事
- タクアン または 沢庵漬け:沢庵(たくあん)和尚の名に由来
- 多情仏心(たじょうぶっしん)
- 立ち往生(たちおうじょう)
- 達者(たっしゃ):悟りの境地に至った人の意で、もともとは年齢や健康状態を表す言葉ではない
- 脱落(だつらく):もともとは精神的・物質的に不要な物を捨てた状態
- 他力本願(たりきほんがん)
- だるま/ダルマ:達磨大師(だるまたいし)より
- <用例/派生>火だるま。だるま落とし。雪だるま。
- 端正(たんせい)
- *本来の読みは『たんしょう』
- 段々良くなる法華の太鼓(だんだんよくなるほっけのたいこ)
- 旦那/ダンナ
- 堪能(たんのう)
- *本来の意味は『堪え(耐え)忍ぶ能力』で読みも『かんのう』(のようだ)
- 断末魔の叫び(だんまつまのさげび)
- 畜生/チクショー
- 長命寺(ちょうめいじ):桜餅のうち、皮がクレープタイプのもの
- 塵も積もれば山となる(ちりもつもればやまとなる):仏典の注釈書(100巻以上で構成されるらしい)にある記述(らしい)
- *本来は、ゴミを溜めすぎると動かせない程に増えてしまう事を戒める内容
- 仏掌薯 (つくねいも)
- *表記と読みが一致しない
- つっけんどん/突慳貪
- 諦観(ていかん):本来の意味は『真理を明らかに見極める事』
- *『諦め』も本来は『明らかにする』と言う意味
- 泥船渡河(でいせんとか):人生には大きな危険が隣り合わせだと言う比喩。あるいは非常に危険で無謀な手段や方法を用いる事の例え。仏典『三慧経(サンエキョウ)』より。
- 泥中の蓮(でいちゅうのはす):維摩経より。世俗の汚れや煩悩の中に生きながら、清浄を保つ事の例えで、蓮の花は釈迦のシンボルとなっている。
- てきめん/覿面
- <用例>効果てきめん
- 徹底(てってい)
- 天に向かって唾する/天を仰いで唾する(てんにむかってつばする/てんをあおいでつばする)
- 超(ちょう):完全な悟りの状態
- 寺子屋(てらこや)
- 寺銭(てらせん):賭博の主催者が得る手数料。公営競技(公営ギャンブル)や宝くじの控除額(控除率)を指す隠語にも派生している。
- てるてる坊主
- 当意即妙(とういそくみょう)
- 道場(どうじょう):悟りに至る修行の場
- *諸説あるが仏教由来が最有力
- 堂々巡り(どうどうめぐり):参詣の形式に由来
- 道明寺(どうみょうじ):米(餅米)の粒が残っているタイプの桜餅
- 道楽(どうらく):本来は、悟りへ至る過程を楽しさ、あるいはそれを楽しむ事
- とにかく/とかく(兎角) *「とかく」の方が本来の読み方
- 戸張が下りる(とばりがおりる) *本来の読みは『とちょう』
- 頓着(とんちゃく) *本来の読みは『とんじゃく』
- 貪欲(どんよく):仏教における三大煩悩(三毒)を構成する貪・瞋・癡(とん・じん・ち)のうち、『貪』に由来
- 【ナ行】
- 内緒/ナイショ*内証(ないしょう)が本来の用語 *郭言葉(くるわことば)として広まった?
- 納得(なっとく)
- 奈落(ならく) <用例>奈落の底に堕ちる
- *舞台装置の名称(舞台下の空間)にも転用
- なんたらかんたら/なんちゃらかんちゃら:不動明王の御真言「のうまく さんまんだ ばさら だん せんだ まかろしゃだ そわたや うんたらたかんまん(真言宗系)」あるいは「なまく さまんだ ばさらなん せんだ まかろしゃな そわたや うんたらた かんまん(天台宗系)」の末尾(しか聞いても覚えられない)より
- 仁王立ち(におうだち)
- 入道(にゅうどう):仏道に入る事、あるいは入った人の事。転じて巨大で柔軟な物。
- <用例>入道雲、蛸入道、ニュウドウイカ
- 人間(にんげん):人の間→人が住む場→この世、世界、世間
- *日本語では『ヒト/人類』の意味で使われるが、中国語では通じない。
- 涅槃(ねはん)
- 念には念を入れる(ねんにはねんをいれる)
- ネンブツダイ/念仏鯛
- 念仏を唱える(ねんぶつをとなえる):ブツブツと不明瞭な話しぶり
- 喉仏(のどぼとけ)
- のっぺらぼう/野箆坊
【ハ行】
- 馬鹿/バカ:サンスクリット語moha(愚か)より
- 八面六臂の奮闘/働き(はちめんろっぴのふんとう/はたらき)
- *阿修羅像のイメージで、本来は三面六臂(顔3つで腕6本)?
- 鉢(はち):サンスクリット語『パートラ』を漢字に音写した『鉢多羅/鉢和羅』の省略形。具体的には僧侶の食器または托鉢用の入れ物。
- <派生>鉢合わせ。鉢巻き。
- 花(はな):お金の婉曲表現
- <語源>サンスクリット語でお金を意味する『ハナ』の漢字による音写
- *諸説あるが、ほぼ間違いない
- <用例>総花的(そうばなてき)、投げ花(なげばな)、花代(はなだい)
- 破門(はもん):本来は僧侶が仏門から追放されることで、もともと在籍さえしていなかったとみなされる。
- 盤石(ばんじゃく):元々は不動明王が座る台の事で、金剛石(ダイヤモンドの原石)で出来ていると言われる。
- 般若(はんにゃ):本来は「完成された智慧」の意味で、一般的には鬼の形相をした能面のイメージ
- 般若湯(はんにゃとう):酒の隠語
- 悲願(ひがん):大慈悲から起こる本願の事
- 彼岸花/ヒガンバナ:植物
- *別名は曼珠沙華(マンジュシャゲ)で、こちらも仏典に由来
- 人を見て法を説く(ひとをみてほうをとく):釈迦が相手の教養や理解度に合わせて話や説明の方法を変えた事に由来
- 皮肉(ひにく):「皮肉骨髄」の略で、物事に対する理解が浅く核心(髄)に迫っていないこと
- 微妙(びみょう) *本来の読みは「みみょう」
- 平等(びょうどう)
- 不覚(ふかく) <用例>前後不覚。不覚を取る。
- 分/厘/毛/糸(ぶ/りん/もう/し):10のマイナス1乗~マイナス4乗(0.1の位~0.0001の位)
- <用例>3割3分3厘3毛(野球の打率)
- 無事(ぶじ)
- 不思議/不可思議(ふしぎ/ふかしぎ):10の64乗
- *10の66乗と言う説もあり?
- ふしだら:サンスクリット語「sutra」の音写「修多羅(しゅたら)」より
- *修多羅(経典を背負って運ぶ時に使う紐) → きっちり順序良く束ねる → 整然としている ⇔ 不+修多羅(修多羅がない) → ぶしゅたら → ふしだら(行いが乱れている)
- 不惜身命(ふしゃくしんみょう):法華経(ほけきょう/ほっけきょう)より
- ブッシュカン(仏手柑):柑橘系の植物
- 普請(ふしん)
- <派生>城普請。普請中。安普請。
- 不退転(ふたいてん):大無量寿経より
- ブッダボウル:ベジタリアン丼 あるいは ヴィーガン丼
- 佛跳牆(ぶっちょうしょう/フォーティャオチァン):高級中華スープ。
- *日本では『ぶっとびスープ』と呼ばれる事もある。
- 仏壇返し(ぶつだんがえし):相撲の決まり手の一つだが、(たぶん不謹慎と言う理由で)現在の大相撲では”呼び戻し”になっている
- *起源は歌舞伎の舞台装置のようだ
- 仏心(ぶっしん)
- 仏頂面(ぶっちょうづら)
- 不動心(ふどうしん):不動明王に由来
- *武道由来説あり
- 付和雷同(ふわらいどう) ⇔ 和して同ぜず(わしてどうぜず)
- 弁慶の泣き所(べんけいのなきどころ):向こう脛の言い換え。僧(僧兵)の武蔵坊弁慶より
- 法師(ほうし)
- <派生>一寸法師、起き上がり小法師、影法師、ツクツクボウシ、琵琶法師
- 坊(ぼう):本義は僧の住まい
- <派生>甘えん坊。怒りん坊。きかん坊。宿坊。寝坊。
- 坊主(ぼうず):①扱いにくい男児 ②短髪またはそり上げた頭 ③僧侶の別称(時に蔑称)
- <派生>アブラボウズ(魚類)、いたずら坊主、生臭坊主、葱坊主、坊主頭、やんちゃ坊主
- ボウズ:釣り用語。魚が一匹も釣れなかった日の事。
- 坊主頭/坊主にする(ぼうずあたま/ぼうずにする):①短髪またはそり上げた頭 ②反省のために髪を短くする事
- ボウズコンニャク:魚の種類
- 坊主憎けりゃ袈裟まで憎い(ぼうずにくけりゃけさまでにくい)
- 坊主めくり(ぼうずめくり):百人一首かるたの遊び方のひとつ
- 坊や/坊ちゃん:男の子に対する上品な呼び名。成長した男性の未熟さや軟弱さを揶揄する場合にも使われる。
- 菩提樹(ぼだいじゅ)
- 仏ごごろ(ほとけごごろ)
- 仏さん(ほとけさん):亡くなった人、あるいは死体の言い換え
- 仏つくって魂入れず(ほとけつくってたましいいれず):形だけ整えて満足してしまう事
- 仏の顔も三度(ほとけのかおもさんど)
- ホトケノザ/仏の座:植物
- *コオニタビラコも『春の七草』として取り扱われる場合は、ホトケノザと呼ばれる(らしい)ため、紛らわしい
- 仏の○○:温厚で情け深く怒ることがない人
- *○○には人の名前が入る
- ホラ吹き/法螺吹き(ほらふき):仏具としての発音は『ほうら』
- *本来は、仏の教えが遠く広くまで届く事
- *現在でも、修験道者(山伏)は法螺貝を吹いている
*法螺貝は多くの国や地域でも、戦(合図用)や航海(災難よけ)で使われた
- 琺瑯/ホーロー *諸説あり
【マ行】
- 摩訶(まか):『非常に/とても』の意
- 魔が差す(まがさす)
- 抹香臭い(まっこうくさい)
- マッコウクジラ/抹香鯨
- 卍(まんじ):釈迦 あるいは 仏法のシンボル
- 曼珠沙華(マンジュシャゲ/マンジュシャカ):仏典由来の植物名。「葉に先立って赤花を咲かせる」と言う意味のサンスクリット語 manjusaka を漢字で音写したもの。
- *彼岸花(ヒガンバナ)の異名
- 満遍なく(まんべんなく)
- 微塵(みじん):仏教において、物質を構成する最小単位
- <用例>みじん切り、木っ端微塵、ミジンコ
- 未曾有(みぞう)
- 三日坊主(みっかぼうず)
- 妙(みょう)
- 冥加金(みょうがきん)
- 冥利(みょうり) <用例>男/女冥利に尽きる
- 無我(むが) <派生>無我の境地。無我夢中。
- 無性(むしょう):①無自性(実体のないこと)の略。②無仏性(悟りを開く見込みのないもの)の略
- 無尽蔵(むじんぞう):仏の教えがもたらす功徳を、宝が無限に湧き出す収蔵庫になぞらえたもの
- 無茶(むちゃ):無為を表す無作(むさ)より*諸説あり
- 無量(むりょう):10の68乗
- *通常『感無量(かんむりょう)』として使われる
- 滅相もない(めっそうもない)
- めっぽう/滅法
- 面目(めんぼく/めんもく)
- <用例>面目を失う(めんぼくをうしなう)。面目躍如(めんもくやくじょ)
- *本来の読みは「めんもく」
- 盲亀浮木/盲亀の浮木(もうきふぼく/もうきのふぼく):発生する確率が想像を絶するほど低い事の例え。具体的には、地球上の生物の中で人として生まれる確率(の低さ)を指す(筆者調べ)。
- 勿体ない(もったいない)
- 模糊(もこ): 10のマイナス13乗(10兆分の1)
- <用例>曖昧模糊(あいまいもこ)。行方は模糊として分からない。
- 問答(もんどう)
- <派生>押し問答。禅問答。問答無用。
- 門前の小僧習わぬ経を読む(もんぜんのこぞうならわぬきょうをよむ)
- 門前町(もんぜんまち):寺院(あるいは神社)を中心として発展した街や地域
【ヤ行】
- 山伏茸/ヤマブシダケ:食用キノコの一種
- *山伏(やまぶし)は、日本独自の山岳信仰と仏教が混合した『修験道』の道者の事
- 唯我独尊(ゆいがどくそん):『天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)』の省略
【ラ行】
- 利益(りえき) *本来の読みは「りやく」
- 立派(りっぱ)
- 流行(りゅうこう) *本来の読みは「るぎょう」
- 流通(りゅうつう)*本来の読みは「るずう」
- レンゲ あるいは 散蓮華(ちりれんげ):中華料理用スプーン
- *蓮華は元々は仏像が乗っている蓮の花を模した台座
- 露地(ろじ)
【ワ行】
- 渡りに船(わたりにふね):仏典より
【法人名/ブランド】
- *認知度が高いもの、具体的にはWikipediaに記載があるもののみを記載
- カルピス:乳酸飲料の商品名かつ会社名
- *『カル(シウム)』+『(サル)ピス』(サンスクリット語で漢訳は熟酥=じゅくそ)
- *創業者は元僧侶
- *創業時の社名は醍醐味(だいごみ)合資会社
- カンロ(株):飴を主力とする菓子
- <由来>サンスクリット語のアムリタ(漢訳:甘露=かんろ)
- *代表商品はカンロ飴。
- キヤノン(株):カメラメーカー
- <由来>観音(の近くで創業した) → KWANON(カンノン) → Canon(キヤノン)
- *創業期の KWANONマークには実際に千手観音が描かれていた
- *『ヤ』の文字は小さくない
- 京都サンガF.C.:プロサッカー球団
- <由来>修行者の集団を意味する『僧伽(さんが)』
- *運営会社名は(株)京都パープルサンガ
- スジャータ:乳製品のブランド
- <由来>極端な苦行で衰弱し切った釈迦に、ミルク粥を捧げた(とされる)女性、スジャーターより
- *会社名はスジャータめいらく(株)
- ミツトヨ(株):測定機器メーカー
- <由来>『天地人、智仁勇、仏法僧』の三豊➡三豊製作所➡ミツトヨ
- *仏教伝道の資金を調達する事が創業の目的だった
- (株)ミロク情報サービス:システムインテグレータ、財務・会計ソフト
- <由来>企業ホームページ上に『社名は、弥勒菩薩にちなんで命名いたしました。』と明記されている(2025年1月確認)
【五十音】
- カタカナ/片仮名:漢訳の仏教典を音読しやすくするために発生・発展したもので、基本的に漢字の一部を取り出している
- 五十音(表):サンスクリット語の仏経典を解読・朗読するため整備されたもの
- ひらがな/平仮名:漢訳の仏教典を音読しやすくするため、基本的に漢字の草書体をアレンジしたもの
- 母音(あいうえお):サンスクリット語の母音を移植したもの
【その他要確認/未検証】
- 安心、一大事、意地、引導を渡す、我慢、行儀/お行儀、シャカリキ、修行、勝利、図に乗る、知恵/智慧、堂々(とした態度)、堂に入る、 上品、下品
【まとめ】
- 沢山あるだろうと予想して記録を開始したものの、ここまで多いとは思わなかった。
- その後も気付く度に追加して行く中、『他のジャンルに語源があるだろう』と予想した言葉や表現が、結局は仏教起源/由来だと判明する例も多い。
- サブタイトルは「日常会話に浸透~」としたが、改訂を重ねる程、「日常会話の骨格をなす~」の方が適切かもしれないと考えるようになっている。
- 2025/1/8 改訂(136回目)
- 2024/12/08 改訂(132回目) 【五十音】の項目を追記
- 2023/10/31 改訂(108回目)
2022/4/10 改訂(49回目)
2021/02/13 初出
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