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高飛車な捨て石が序盤で大局的な先手を打ち一目置かれる存在になった

~ 日常会話に浸透している囲碁・将棋用語や由来表現 ~

 

餃子の王将の看板

中華料理チェーン店の看板 / 2024年1月 / 東京都区内

 
囲碁と将棋。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
世界中に数多(あまた)存在するボードゲームの中で、『偶然性の介入する余地が最も少ない』あるいは『勝敗にプレイヤーの実力(差)が最も直接的に反映される』部類に属している。
 
 
関心や関わりのレベルについては、『囲碁と将棋の区別がつかない人』から『プロのタイトル獲得者』まで幅広いが、その用語や由来表現の一部は日常会話にまで浸透しており、気付かないうちに使っている事もあるので、まとめてみたい。
 
 

ア行)
 

      • 悪手(あくしゅ)

 

      • あの手この手
        • *諸説あり(要継続検証)

 

      • いい加減(いいかげん)
        • *囲碁では肯定的な意味(資源配分のバランスが良く無駄がない状態)

 

      • 一番手(いちばんて):その局面における候補手の中で最も順位が高いもの
        • *二番手、三番手と続く
        • *諸説あり

 

      • 一目置く/置かれる(いちもくおく/おかれる)

 

      • 一手(いって):碁石を1つ置く事。あるいは将棋の駒を1つ動かすか持ち駒を1つ使う事。
        • <用例>次の一手、別の一手、渾身の一手
          *諸説あり

 

      • 打つ手がない(うつてがない)

 

      • 上手(うわて)
        • <用例>一枚も二枚も上手

 

      • 王手(おうて)
        • <用例>王手をかける/かけられる、逆王手

 

      • 傍目八目(おかめはちもく):観戦者の方が局面を客観的に捉えて先が的確に読めること

 

      • お手柔らか(おてやわらか)
        • *武道由来説あり

 
 
カ行)
 

      • 勝ち目がない(かちめがない)
        • *サイコロ賭博由来説もあり

 

      • 活路(かつろ)
        • <用例>活路を開く、活路を見いだす
        • *諸説(仏教、戦)あり

 

      • 決め手(きめて)

 

      • 局面(きょくめん)

 

      • 禁じ手(きんじて) *相撲と共通

 

      • 玄人(くろうと)⇔素人(しろうと):(囲碁が日本に伝来したばかりの頃は)実力上位者が黒石(後手で不利になる)を使っていた事から。
        • *現在は逆で黒石(黒番)が先手
        • *仏教由来説など諸説あり

 

      • 結局(けっきょく)

 

      • 後手後手(ごてごて)

 

      • 後手に回る(ごてにまわる)

 

      • 碁石金(ごいしかね/きん):戦国武将、武田信玄が買収や褒賞に使った軍用貨幣

 

      • 碁石小灰蝶/ゴイシシジミ:シジミチョウ科の蝶

 

      • 碁石蛤/ゴイシハマグリ:チョウセンハマグリの別名で、碁石(白石)の材料として用いられる事に由来

 

      • 碁石豆/ゴイシマメ:ガンクイマメの別名

 

      • 碁盤の儀(ごばんのぎ):七五三の儀式
        • *本来は五歳男子向けだが、対象は広くなっている
        • *正式には十九路盤でなく、二十路の日置盤と呼ばれる物が使われるようだ

 

      • 碁盤の目(ごばんのめ)
        • <用例>碁盤の目の様な町並み

 

      • 碁盤割(ごばんわり):土地を垂直に交わる道路で均等に区画する事

 

      • 駒が揃う(こまがそろう)
        • *『駒』自体の原義は『子馬』

 

      • 駒不足(こまぶそく)

 

      • 駒を進める/コマを進める
      •  

 
 
サ行)
 

      • 指し手(さして)
        • <用例>鮮やかな指し手、差し手を誤る

 

      • 下手(したて)
        •  <用例>下手に出る

 

      • 終局(しゅうきょく)
        • <用例>終局に差し掛かる、終局を迎える

 

      • 収束(しゅうそく) *諸説あり

 

      • 将棋倒し(しょうぎだおし)

 

      • 上手(じょうず):江戸時代における囲碁七段の別称

 

      • 初手(しょて)

 

      • 序盤/中盤/終盤(じょばん/ちゅうばん/しゅうばん)

 

      • 素人(しろうと)⇔玄人(くろうと):(囲碁が日本に伝来したばかりの頃は)実力下位者が白石(先手で有利になる)を使っていた事から。
        • *現在は逆で白石(白番)が後手
        • *仏教由来説など諸説あり

 

      • 定石/定跡(じょうせき)
        • <用例>定石通りに、○○するのが定石だ

 

      • 白黒つける(しろくろつける)

 

      • 捨て石(すていし)

 

      • 捨て駒(すてごま)

 

      • 先手(せんて)
        • <用例>先手を打つ、先手を取る、先手必勝

 

      • 死活(しかつ)
        • <用例>死活問題

 

      • 筋(すじ)
        • <用例>筋道、筋が良い、筋違い

 
 
タ行)
 

      • 大局(たいきょく)
        • <用例>大局観、大局的

 

      • 打開(だかい)
        • *語源には諸説あるが、将棋用語として一般化した事は確実。
        • <用例>新しい局面、局面を打開する、苦しい局面

 

      • 高飛車(たかびしゃ):他人を見下す横柄な人や態度
        • <派生>タカビー(ほぼ死語)

 

      • 駄目(だめ):駄目詰まりより。
        • <派生>ダメ(禁止、注意、諦め)、駄目押し、ダメ出し、ダメダメ

 

      • 段違い(だんちがい)
        • *諸説(柔道、剣道、弓道)あるが、段位の始まりは江戸時代前半期の碁だと言われている

 

      • 着手/着手する(ちゃくしゅ/ちゃくしゅする)
        • *諸説あり?

 

      • 詰め(つめ)
        • <用例>詰めが甘い、詰めを誤る、追い詰める

 

      • 詰み/詰んだ/詰んでいる(つみ/つんだ/つんでいる):王(玉)の逃げ道が無い状態になる事。転じて、負けや失敗が確定的になる事。

 

      • 手厚い(てあつい)
        • *諸説あり

 

      • 手合い(てあい)
        • *相撲語源説あり

 

      • 手合わせ(てあわせ)
        • *諸説あり

 

      • 手薄(てうす)
        • *諸説あり

 

      • 手加減する(てかげんする)

 

      • 手堅い(てがたい)

 

      • 手駒(てごま):手持ちの駒。転じて、すぐに動ける手下や部下の事。

 

      • 手順(てじゅん)

 

      • 手数(てすう/てかず) *諸説あり

 

      • 手違い(てちがい)

 

      • 手詰まり(てづまり)

 

      • 手抜き/手を抜く(てぬき/てをぬく):囲碁において優劣が明らかな領域に、必要以上の資源(石)を使わないこと

 

      • 手を入れる(てを入れる)

 

      • 手を打つ(てをうつ)

 

      • 手を緩める(手をゆるめる)

 

      • 手を読む(てをよむ)

 

      • 頓死(とんし)

 
 
ナ行)
 

      • 投げる(なげる):敗北の表明、『投了(とうりょう)』より
        • *実際に駒を投げ出したり、盤をひっくり返す場合もある(らしい)

 

      • 成り上がる/成り上がり(なりあがる/なりあがり)

 

      • 成金(なりきん)

 

      • 難局(なんきょく)

 
 
ハ行)
 

      • ハメる/ハメられる:ハメ手より。
        • *諸説あるが、囲碁・将棋用語として一般化したと考えられる

 

      • 必至/必死(ひっし)

 

      • 飛車角落ち(ひしゃかくおち):ハンデ戦の条件のひとつ。主力を欠いた状態での戦い(を強いられる事)に派生。

 

      • 布石(ふせき)
        • <用例>布石をを打つ、布石を敷く

 

      • ポカ *花札由来説もあり

 
 
マ行)
 

      • 待ったをかける(まったをかける) *相撲が先か?

 

      • 目算(もくさん)
        • <用例>目算通り、目算が狂う

 

      • 目論む/目論見(もくろむ/もくろみ)

 

      • 名人(めいじん):江戸時代における囲碁九段の別称

 

      • 名人に定跡なし(めいじんにじょうせきなし)

 

      • 持ち駒(もちごま)

 
 
ヤ行)
 

      • 八百長(やおちょう):囲碁愛好家で相撲部屋と取引があった「八百屋の長兵衛」の短縮形
        • *相撲界特有の用語(隠語)であったが、他の競技全般にまで派生

 

      • 読み(よみ)
        • <用例>○○手先まで読む。先を読む。

 
 
【屋号】
 

      • 王将(おうしょう):中華料理チェーン
        • <例>餃子の王将(京都王将)、大阪王将

 
 
【要検証】
 

      • 隅に置けない、手合わせ、手遅れ、手落ち、間に合う/間に合わない?

 
 
【プロ野球の中継を将棋・囲碁用語で】
 

      • キングスとブラックスの日本シリーズ。
      • <いい加減>に<白黒をつけたい>と<先手を打った>キングスが<中盤>で<王手をかけた>ものの<詰めを誤り>、<持ち駒が豊富>で<大局的>な<布石を敷いて>いたブラックスに<終盤>で<目算を狂わされて>ると形の<局面を迎えて>います。

 
 
【まとめ】
 

      • 仏教用語、歌舞伎用語、相撲用語などと並んで、日常会話における浸透度や出現頻度が高い。

 

      • 当然ながら、戦略、手順、状況把握などに関する表現が多い

 

      • 『手』に関する表現が多い

 

      • 最終的には決断により勝敗が決する

 

2025/1/3改訂(26回目)
2022/3/20 初出