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袂(たもと)を分けた懐刀が辻褄を合わせようとしてボロを出した

~ 日常会話に浸透している着物・和服用語や由来表現 ~

 
 

本の帯または腰巻き/東京アンダーワールド/角川書店
【 書籍に巻かれる腰巻きの例 】

  
着物、和服、呉服。
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  

筆者を含め大多数の日本人は、「一着も持っていない」、「なんかの式の時に着せられたことがある」、「自分には縁がないと思っている」と言った程度の関係であろう。
 
ただし、これに関わる用語や表現は日本人のメンタリティや思考の基礎部分にまで浸透しており、日常生活の中で気づかないうちに使っていることがあるので、まとめてみたい。
 
 

【 使用例(議員秘書の汚職事件) 】*<カッコ>内が着物用語

 

    • <懐刀>が<袖の下>に関して<辻褄が合を合わせ>ようとして<ボロが出した>ので<諸肌を脱ぎました>が、<襟を正す>事なく<尻をまくった>ので<仕付け>は諦め<袂を分かち>ましたので<撚りが戻る>事はないでしょう。

 
 
【ア行】
 

      • 腕まくりをする

 

      • 襟足(えりあし)

 

      • 襟を正す

 

      • お仕着せ/お仕着せがましい

 

      • お裾分け

 

      • 帯に短したすきに長し

 

      • 帯番組(おびばんぐみ):テレビやラジオで、毎週複数の曜日(月~金が多い)に跨がって同じ時間に放送される番組。

 

      • 折り目正しい

 
 
【カ行】
 

      • 片肌を脱ぐ:出来る範囲で助力や協力するイメージ ⇔ 諸肌を脱ぐ

 

      • 柄/ガラ <用例>ガラが悪い、柄じゃない、柄に合わない

 

      • キラキラ:綺羅(きら)より
        • *綺=綾織りの絹織物、羅=薄織りの絹織物

 

      • キンキラ(キン):華美で贅沢な絹織物あるいはそれを使った着物
        • <漢字表現>金綺羅錦、錦綺羅、絹綺羅

 

      • 紺屋の白袴(こうやのしろばかま/こんやのしらばかま)

 

      • 故郷へ錦を飾る(こきょうへにしきを飾る)

 

      • 腰巻(こしまき):本の下部に巻かれる宣伝用の帯。
        • *『帯(おび)』や『腰帯(こしおび)』と呼ばれる場合も多い。
        • *読書の邪魔になる場合も多いが、かと言って捨てるのも抵抗がある

 
 
【サ行】
 

      • 仕立てる/仕立て上げる

 

      • 仕付け/仕付ける:『躾け』はこれの派生語?

 

      • 尻(しり)をまくる/ケツをまくる:その場から走って逃げる去る体制に入ること

 

      • 裾野が広い/狭い:もともとは山麓の野原を表す言葉だが、産業や学問を支える関連分野の事を指す場合が一般的になっている

 

      • ジンベエザメ/甚兵衛鮫/甚平鮫

 

      • 裾払い(すそはらい):相撲の決まり手のひとつ

 

      • 袖にする/袖にされる:袖を振る/袖を振られるから「振る」が省略されたと思われる
        • *恋愛での失敗に関わる話は、「婉曲的かつ短く表現したい」という心理が作用すると推測する

 

      • 袖の下(そでのした):賄賂(わいろ)の言い換え

 

      • 袖触れ合う/袖振り合う/擦れ合うも多生の縁

 

      • 袖を濡らす

 
 
【タ行】
 

      • 襷(たすき)掛け

 

      • 伊達(だて):戦国武将・伊達政宗の服装が奇抜だった事(伝説)に由来
        • <派生>伊達男、伊達じゃない、伊達者

 

      • 袂を分かつ/分ける:関係が深かった人と縁を切ること

 

      • 辻褄を合わせる(つじつまをあわせる)

 

      • 紡ぐ(つむぐ)/紡ぎ出す(つむぎだす)

 

      • 徳利袴(とっくりばかま):徳利を置く為の器。
        • *高級和食店で日本酒(燗酒)を注文すると、付いてくる事がある
        • *瓶ビール用の『ビール袴』も存在する

 

      • どんぶり勘定:腹当(はらあて)のポケット部分や腹巻き収納スペースを「どんぶり」と呼び、そこから職人などがろくに計算せずに金の出し入れをしていた事から

 
 
【ナ行】
 

      • 無い袖は振れない/振れぬ:払えるお金がないことの婉曲表現

 

      • 夏も小袖(なつもこそで):冬物の衣服を季節外れの夏に貰うこと。すなわち、タダなら何でも欲しがること。
        • <表現のバラエティ>頂く物は夏も小袖、夏もお小袖、貰うものは夏も小袖

 

      • ニシキゴイ/錦鯉

 
 
【ハ行】
 

      • はしょる/端折る(はしおる) <用例>話をはしょる

 

      • 歯に衣着せぬ(はにきぬきせぬ):思った事を相手に遠慮せずはっきり言うこと

 

      • 腹を括る(はらをくくる):覚悟を決めて事に望むこと
        • *諸説あり

 

      • 左前になる:死亡の間接表現。遺体に着せる着物の合わせを、通常の「右前」でなく逆にすることから。
        • *「前」は着る人が基準で、本人の体に近い方を指す
          *女性用の洋服と同じ合わせ

 

      • 舞台袖:演劇の舞台の両側で、通常は<袖幕(そでまく)>により観客からは隠されている

 

      • 懐(ふろころ)が暖かい/寒い/さびしい

 

      • 懐刀(ふところがたな)

 

      • 懐(ふところ)が深い

 

      • 懐(ふところ)に入り込む/飛び込む

 

      • 振る/振られる*「袖(そで)」が省略されていると思われる

 

      • フンドシ:蟹の腹部
        • *オスは三角形で幅が狭く、メスは丸みがあり大きい
        • *蟹を解体する場合、まずこれを剥がす人が大部分(と思われる)

 

      • 褌(ふんどし)を締め直す/締めてかかる
        • *相撲の”まわし”を差す場合もある

 

      • 襤褸(ボロ) 【用例】ボロボロ(物や身体が修復出来ない程壊れている様子)、ボロが出る、ボロかす、ボロクソ
        • *正式な読みは『ランル』

 

      • 襤褸は着てても心は錦(ぼろはきててもこころはにしき)

 
 
【マ行】
 

      • 馬子にも衣装(まごにもいしょう)

 

      • 身の丈に合う/合わない

 

      • 諸肌を脱ぐ:全面的に助力・協力するイメージ ⇔ 片肌を脱ぐ

 
 
【ヤ行】
 

      • 撚りをかける/縒りをかける(よりをかける)

 

      • 縒りを戻す/撚りを戻す(よりをもどす)/が戻る

 
 
【その他要検証】
 

    • 足が出る?、大柄・小柄?、柄が悪い、柄にもない、柄に合う/合わない、人柄、着の身着のまま?、要領(を得ない)? 

 
 
【まとめ】
 

    • 相撲、歌舞伎、刀剣、囲碁・将棋などと並んで、由来語や関連表現が多い
  • 2024/11/19 改訂(17回目)
  • 2021/4/17初出