映画"北京原人 How are you?"。
1997年の暮、大手映画会社の記念作品として制作費20億円(喧伝額)が投じられたこの作品は、心温まる感動作として大々的な前宣伝を行った後、全国の映画館で公開された。
ところが、いざ蓋を開けると、多くの観客に激しい眠気、深い失望、尽きない疑問、 あるいは激しい怒り、または失笑を引き起こしたため、劇場公開は計画より早く打ち切られ、最終的に巨額の赤字を計上した。
もちろん映画と言う総合芸術は、不確定要素に満ちた共同作業の積み重ねであるから、珍作や失敗作の類いは数え切れないほど存在するし、むしろ名作が生まれる確率と言えば極めて低いのが現実である。
ただし、本作品は投下されたコストや宣伝・公開規模が大きかった分だけ、その暴走距離と到達点(もしくは墜落点)において、並の珍作や失敗作とは一線を画している。
- 【並の珍作との違い】
- 予算が潤沢だった
- *制作費20億円と喧伝されていた
- 監督、脚本家、出演者、スタッフに十分な実績あるいは将来性があった
- 公開前の宣伝が大々的だった(ファミリー向けをアピールしていたはず)
- 劇場公開が全国規模だった
【公開当時から現在(2020年)までの経緯】
- 封切り直後から前売り券が100円前後で金券ショップで叩き売りされ、その100円前後で観た人でさえもが「金返せ」と怒りだす現象が続出した
- 上映が早期打ち切りされる
- 物好きの間で昭和を代表する(?)珍作と注目されるようになる
- 2005年には待望の(?)DVD化。
- 2020年現在でも当初の制作意図に反した形でカルト的な人気を誇りどこかで鑑賞されいる模様。
作品の見所(突っ込み所)についてはWEB上の様々なレビューで紹介されているので割愛するが、筆者なりに作品を総括すると次の一言に尽きるであろう。
うぱ~
まあ、これではさすがに短すぎるので、もう少し補足した形で結論としたい。
【結論】
- 「日本映画界における新天地を目指して新造された大型船にはベテラン船長を筆頭に実績や将来性を備えたクルーが選抜され乗り込んだが、航海中に不適切な方向に不適切なタイミングで舵を切り続けた結果、最終的に宇宙空間へ飛び出してしまったような」映画
- 関係者の(ほとんど)全てが、「これに関わった事を知られなくない/忘れたい」であろうと確信させる作品
*しかし、本田博太郎氏(北京原人のタカシ役)のように、役者魂が認められて評価が上がった出演者も例外的には存在する。
*参考楽曲: 本田博太郎~magical mystery UPAAAAAAAAA!!!!!~
- 酷評されすぎて逆に見たくなる映画
- かなり気分が沈んでいる時でもこれを観れば、「自分のつらさなんてこの作品の出演者に比べたら大したことない」と思える映画。
【参考】
- 主演俳優の一人、O形N人氏の公式WEBサイトの出演歴には、この作品が記載されている(2020年4月現在)。
- この事実を知った時、筆者は驚きよりも尊敬する気持ちの方が大きかった。
- 映画会社への義理がある事は想像出来るが、もし出演歴から削除したとしても、彼を非難出来る人が果たしているのだろうか?
改訂2021/04/24
初出2020年5月
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