【 はじめに 】
宝塚歌劇団の理解者としての考察ですが、記述内容は分析に偏り過ぎていますので、純粋にタカラヅカの世界観やライブ感を楽しみたい方に対しては閲覧をお勧めしません。
宝塚歌劇団。
他に類を見ない世界観で100年以上に渡り観る者を魅了し続けているが、その特徴は独自かつ絶対的なルールや約束事が多いことで、代表的なものは次の通り。
- 出演者は全て独身女性
- 通常公演の主役は必ずその組のトップスター(男役の最上位)が務める
- 完全序列主義(配役、出番、台詞、 歌、 衣装、その他全て)
- *メインキャストでも芝居の役柄によっては、地味でみすぼらしい雰囲気の衣装を身に着ける場合もある
もちろん、独自性の高さゆえ必ずしも万人受けする訳でないが、その分だけ中毒性も高く、熱心なファン(ヅカオタ)になるまでには、およそ次の経過をたどるようだ。
- こんな世界があったんだ
- また観たい
- ○○さんの成長を応援したり見守りたい
- 阪急宝塚線沿線(大阪の場合)または地下鉄日比谷線沿線(東京の場合)に住みたくなる/可能であれば住むようになる
- これがなくては生きていけなくなる
- 観劇や応援などに費やす時間やお金は浪費でなく『生命を維持するための必要経費』となる
ただし、上記のルールや約束事に基づくステージ構成は100年を超える伝統の中で変化と淘汰を繰り返した末に固定化・様式化されているため、舞台演劇に興味がない人がそれらの持つ必要性や必然性を理解することは困難で、特に日本文化に馴染みのない外国人にとっては、劇団の存在自体が謎かも知れない。
同時に、劇団の本質と言う点については、伝統や約束事に慣れているファンや劇団関係の方が、その近さや当たり前さゆえ、逆に良く見えていない場合も多いのではないだろうか。
筆者は『興味はあるけどはまっていない』という距離感(地上波TVと出版物が主な情報源)から数年間考察を重ねた結果、次の結論に達しました。
【結論】
- ①卒業時期が事前に決まっていない日本最難関女子校(演劇部)
- 演出家を『先生』、団員を『研究生』と呼んだり、入団時期の違いを『上級生と下級生』で区別したり、所属期間を『学年(○○年生)』で表したり、稽古場を『教室』と言ったり、退団を『卒業』と称したりする。
- ②阪急電鉄が経営する花嫁学校
- 元タカラジェンヌ(団員)を妻に迎えることは高いステータス(らしい)(特に関西で)
- *団員は独身であることが条件
- 入団前の2年間を過ごす、宝塚音楽学校に合格するだけでも箔(ハク)がつく。
- *中退は珍しくないが、入学時点で辞退する例は極めてまれ
- *現在、団員になるには全てここを卒業する必要がある。学制上は各種専門学校。
【蛇足】
- 宝塚歌劇を構成する上で最も特徴的なのは男役。
- こちらについても機会があれば考察をまとめたいと思っています。
改訂 2022/12/01
初出 2020年5月