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リング上のバーテンダー

~ プロレスラーに求められる資質 ~

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【はじめに】
プロレスの理解者としての考察ですが、勝敗に重きを置く方に対しては閲覧をお勧めしません。
また、プロレスは大スターの出現やトレンドにより興行の内容が大幅に変わる場合があるので、本記事の記載内容もそれに応じて変化する可能性があります。

 
 
プロレスと言うと一般的に野蛮で反則だらけのスポーツと考えられがちだが、実は対戦相手やパートナーとの信頼とルールに基づいた頭脳戦である。

 
ただし、ルールの解釈と運用には大きな自由度が設けられており、さらにその匙加減は対戦相手の持ち味や相性によって変わるので非常に分かりにくくなっている。
もちろん、そのあたりを観客には分からないようするのがプロたる所以であるとも言えるであろう。

 
そう言う意味でプロレスラーに求められる資質は一般的な競技スポーツとは違う点があるので、具体的に挙げてみたい。

 
【プロレスラーに求められる資質 】

    • 上の方は他のスポーツとの共通性が高く、下に行くほどプロレスならではの独自性が高くなる

 

      • 大きな体格
      • 高い身体能力
      • 旅好き(笑)
      • 共同生活、特に団体行動が出来る
      • 決めごとや段取りを理解して守ること。
      • 相手にケガをさせない
        • *全力で攻撃する際は、胸板へのチョップ、背中や太股へのキック、張り手など、怪我につながりにくい部分に限定する
      • 相手の攻撃から逃げない
      • 対戦相手を思いやる気持ち(対戦相手の良さを引き出して見せ場を作れること)
      • 観客が何を求めているか理解して体現する
      • シナリオ作成能力(外部委託も可能)
      • シナリオ遂行能力(時間管理も重要)
      • 状況や必要に応じアドリブでも対応出来る
      • ルックス
      • トーク能力(特にアメリカンプロレスで)
      • キャラクターになりきる能力
  •  
  • つまり、競技をベースにショーの要素がミックスされており、その配合比率は対戦相手、試合の重要性、観客の反応などにより試合中でも随時変動する。
  • だから体力が落ちて繰り出せる技の種類が減っても、悪役キャラ、話術、相手の良さを引き出す技術、さらには「やられっぷりが様になる」など、独自のキャラクターや技を持つレスラーは還暦過ぎまで現役を続けることも可能になる。

 
【プロレスとバーテンダーの共通点】

    • 優れたプロレスラーとは、自分の技と対戦相手やタッグパートナーの持ち味を材料として、観客の好みや気分に応じて試合というカクテルをアレンジする、リング上のバーテンダーである。

 

    • 特に名レスラーと称される人は、例外なくそれぞれオリジナルの必殺技を持っており、そのネーミングのテイストはバーのカクテルと似ている。
    • *中には見栄えは良いがノンアルコールの物(対戦相手に痛みやダメージを与えない配慮がされている)も存在している

 

    • <プロレス技の例>
      • ウエスタンラリアット
      • さそり固め
      • 16文キック
      • ドラゴンスープレックス 
      • ブレーンバスター
      •  卍固め

 
 

    • <カクテルの名前っぽいプロレス技>
      • アックスボンバー(斧爆弾)
      • シャイニングウィザード
      • スコーピオンデスロック
      • ドラゴンスクリュー
      • デッドリードライブ
      • ブレーンバスター
      • ミストクラッシュ 

 
 

    • <カクテル名とプロレス技で共通>
      • テキーラサンライズ
      • パイルドライバー

 
【結論】

    • プロレスラーとは試合のガチンコ度(アルコールの度数)に関わらず『自分の持ち時間の中で、いかに客を楽しく酔わせてピーターに出来るか』が真価であると言える。
最終更新2020/12/23(4回目)
初出2020年5月