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ドイツ産(オーストリア育ち)高級鮫の調理法

~ ミュージカル “エリザベート”の登場人物を料理に例えると ~

 
 

Demel/デメルのロゴ
エリザベートも愛した菓子店 Demel(デメル)のシンボルマーク
チョコレートに同封された栞(しおり)の一部 / 2024年4月
【 始めに 】
 
    • ミュージカルに興味がない人には、全くつまらないと思います!

 
 
 
ミュージカル『エリザベート』
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
誰もが傑作と認めるミュージカル演目の一つで、主な特徴は次の通り。
 
 

    • ①主人公の人名がをのまま題名になっている
    • ②オーストリアで最初からミュージカル作品として作られた
    • ③セリフの全てに曲が付いている
    • ④登場人物は基本的に実在した人物だが、『トート』だけは創作

 
 
上演以外にもガラコンサート(歴代出演達達による歌唱に特化した公演)が開かれたり、色々な解説本が出版されたり、WEB上で様々な関連記事が公開さているが、ここでは主な登場人物を料理の材料に例えながら作品の本質を解析して行きたい。
 
 
 【登場人物と対応する食材】  
 
 

    • ・エリザベート(オーストリア王妃):サメ (メインの食材)
        • *もともとは伸び伸び育った天然モノだが、若い時期に思いがけず窮屈な生け簀(いけす)へ移った
        • *常に泳いでいないと呼吸が出来ずに死んでしまう*生食には不向きで、普通はフライぐらいしか調理法がない。
        • (皮が厚い、身が柔らかすぎる、脂がきつい、時間が経つと臭みが出る) 
        • (毒はありませんが尖った歯や鮫肌には注意)
        • *生まれ(バイエルン)、育ち(貴族)、見た目(美貌)は申し分ない
        • *地元では親しまれているが、他国(特に米国の高級店)では注目されなかった素材

 
 

    • ・トート(黄泉の帝王):素材に絡みつく濃厚スープ。
        • *ベースは洋食(恐らくメフィストフェレス)だが東洋の要素も取り込み、メインの食材をも上回
        • る存在感となった。

 
 

    • ・トートダンサーズ(トートの分身?):スープの増量および増粘
        • *時には多すぎて食器から溢れ出したりてしまう。

 
 

    • ・ルキーニ(エリザベートの殺害犯):料理人(シェフ)
        • *煮ても焼いても食えない素材であろうと、地獄の業火(劫火)と大鉈(おおなた)の使い手ならば・・・
        • *料理に関する説明役でもある

 
 

    • ・ゾフィ(エリザーベートの姑/フランツの母):塩
        • どんな名シェフでもこれがないと料理にならないし、締まりが出ない。
        • ただし入れ過ぎるとすべてが台無しに。

 
 

    • ・フランツ・ヨーゼフ(エリザベートの夫/オーストリア皇帝):鍋
        • 容量的には十分だが(器はでかいが)、熱(情熱)の伝わりが悪く、何十年たっても煮え切らない

 
 

    • ・ハプスブルグ家(オーストリア王室の家系):調理器具・食器類
        • もともとは堅牢、豪華、数も豊富だったが、金属類は錆付き、陶器は大小のひびが入っているので、お飾りに過ぎません。
        • 新しい物に入れ替えた方が良いはずながら、古いものは捨てると言う発想はないし、そもそも何が新しいかと言う判断自体が出来ません。

 
 

    • ・ルドルフ(オーストリア皇太子/フランツとエリザベートの息子):香辛料
        • 爽やかかつ華やかな香りを放つが、栄養価自体は皆無であり、養分が極端に偏った土壌で窮屈に育ったせいで、後味の悪い辛みと苦みが追って来る。
        • 使い過ぎると涙が止りません。

 
 
【まとめ】
 

      • ミュージカル”エリザベート”は『ドイツ産フカヒレの姿煮』である。
        • *乾燥フカヒレは、普通では煮ても焼いても食えない食材。
        • *最初は水につけてふやかし、形を崩さないよう気をつけながら皮や肉を除去し、その後も臭いがしっかり抜けるまで下茹でを繰り返し、1週間ほどかけて初めて本当の意味での食材になる。
        • *しっかり下処理が済んだフカヒレ自体は無味で、味はスープ(上湯)で決まる。

 
 
【その他フカヒレとイメージが近い食べ物】
 

    • ・はんぺん 
      • 真っ白なで淡泊なはんぺんからは、原料がどう猛なサメ(鮫)とは想像がつきにくく、実際知らない人が多い。
      • つまり、『はんぺん』とは市場価値の低いサメの肉を無駄にしないよう工夫された加工品。
      • アンモニア臭(と色)を取り去るために、すり身を何度も水にさらすことによって、真っ白で淡泊な食材に仕上げる。
        • *現在、コストと手間の関係から、一般的な『はんぺん』の原料にはサメではなくタラ(鱈)が主に使われる。

 

    • ・ウナギ/鰻の蒲焼き
      • 皮は厚くぬめりが多い上、身の脂も多すぎるため、焼く・蒸す・タレ付の手間をかける。

 

    • ・ハモ/鱧
      • 小骨が多いので身に細かく包丁を入れ、皮が硬いので湯引きにする。

 

 
2024/4/6 初出

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