有名な美術・芸術作品や建築物など。
実際に見たり読んだりしなくても、その存在は広く知られている物の中には、未完成、欠損、瑕疵(かし)などがその特徴となっている例もあるので、まとめてみたい。
*鑑賞/拝観/利用され続けている例のみを採り上げています
*聖書や仏典などを題材とする、最初から信仰対象として製作された作品は除外しています。
【絵画】
- モナ・リザ:作者のレオナルド・ダ・ビンチの晩年、4年に渡り描かれた作品で、死の直前まで手を入れていた(と言われている)。また、本来のサイズより左右が切り落とされて狭くなっている(と言われている)
- *作者が注文納期を守らない事は有名で、未完成作品は他にも多数ある(と言われている)。
【彫刻】
- ギリシャ彫刻の色について:白色のイメージが定着しているが、着色されているのが元来の姿(と言う事が証明されている)
- サモトラケのニケ(ニケ像):頭部が欠損。
- *スポーツブランド『NIKE/ナイキ』のモチーフと言われている
- ミロのヴィーナス:両腕が欠損。
【建築物】
- サグラダ・ファミリア:費用調達と構造計算が難しいため最終形に至るまで約300年かかると言われていたが、拝観収入の増加とITの進歩により、2026年完成見込み(2024年時点)に繰り上げられた。
- 日光東照宮の陽明門:柱の1本のみを木の生長した向きとは反対に設置する『逆さ柱』とする事で、敢えて完成していない(逆説的に不滅である)としている。
- ノイシュヴァンシュタイン城:全体構想の一部しか実現されていない(らしい)が、コンセプト図(現存)と見比べてもどこが不足しているか分かり難い
- パルテノン神殿:壁面が欠落している
- ピサの斜塔:傾いている
- フラムドール:本来は垂直(縦)に設置されるはずだったものが、構造上の問題で水平(横)に変更された(らしい)。
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2025年1月撮影 / 東京都墨田区(撮影は台東区より)
- *アサヒグループホール棟の屋上に設置されているオブジェ。正式名称はフランス語の【フラムドール(金の炎)】だが、【ウ○ンコビル】と言う方が通じる。
- *結果的には屋外オブジェとして、高い注目度と知名度を獲得している。
【文学】
- カラマーゾフの兄弟:ドストエフスキーの小説。続編が書かれるはずだった(らしい)。
- グット・バイ:太宰治の小説。新聞連載中に作者が自殺。
- 金色夜叉(こんじきやしゃ):尾崎紅葉の小説。新聞連載中に作者が病没。
- 村上春樹の小説全般:謎が解明されなかったり、実生活ではありえない会話が延々と交わされたり、物語(らしきモノ)の伏線が回収されない
- 明暗(めいあん):夏目漱石の小説。新聞連載中に作者が病没。
【科学書】
- 解体新書:オランダ医学書の翻訳として歴史教科書にも記載されるほど有名だが、実態は図版を紹介するだけでも価値があるから『文については解読(推測)出来た(と思われる)部分だけを発表した見切り出版(良く言えばパイロット板)』だった。
- *初版の出版までに4年、改訂版の出版までには更に52年を要した。
- *結果的には、当時(1774/江戸時代中期)の社会に大きなインパクトを与え、蘭学の進歩に大きく寄与した。
- *『解体新書』と言う言葉は、現在(2024年)も『○○(特に人物)に関する詳細かつ斬新な解説書』のタイトルとして、かなり高頻度で使用されている。
【音楽】
- 未完成:シューベルトによる交響曲第7番の通称
- 未完成交響曲:その名の通り未完成に終わった交響曲の総称(多数あり)
【玩具】
- ボブルヘッド人形:誰背番号や肩の名前を見ないと誰か分からないほど顔が本人に似ていない場合が(も)多い
- *2024年6月現在の状況
- *今後は似ていく可能性も高いが、単純に似ていれば良いと言うジャンルでもない気がする
【キャラクター/マスコット/ヒーローなど】
- 『左右非対称の主人公』はデザインワークとして難度が高く(不気味になりがち)、追随するのはするヒーローは皆無
- ざっくぅ(インターネット接続サービス『ZAQ/ザック』のマスコットキャラクター):全身が白、顔だけ非対称の文字(Z=右目、A=鼻、Q=左目)と言う極めてシンプルなデザインだが、可愛らしいキャラクターに仕上がっている
- <顔のイメージ>(ZAQ)
- 人造人間キカイダー(漫画/ドラマ):完成の一歩手前で開発者が拉致されてしまったため、左右非対称(左半身が未完成)になっている
- ブラックジャック(漫画/アニメ/実写映画/その他):本名は、間 黒男(はざま くろお)。顔に(緊急対応の為)美観への考慮がない皮膚移植(ツギハギ)が行われている
- 目玉おやじ(漫画/アニメ):『ゲゲゲの鬼太郎』の父親。もともとは人体サイズの五体を持っていた。
【まとめ】
- 当初の構想や設計とは違う形になることで、結果的に知名度や人気が上がるケースが多い
- 何が特徴や魅力として受け入れられるかはほぼ予測不可能であり、偶然の要素が多い
2025/1/13 改訂(4回目)
2024/6/15 初出
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