競技スポーツにおける『審判』
日本語では『審判』でほぼ一括りにされているが、国際的なスポーツでは、『レフェリー』、『アンパイア』、『ジャッジ』のように分けられているので、違いを検証してみたい。
【はじめに】
- ①カタカナの表記揺れについて
- アンパイア/アンパイヤは『アンパイア』に統一します
- レフェリー/レフリーは『レフェリー』に統一します
- ②日本発祥競技特有の『審判』とその英訳
- 行司:レフェリー
- ③ラインジャッジ/ラインズマンについて
- 補助員としての位置付けなので考察対象から除外
【競技による違い】
- <アンパイア>
- 野球、卓球、バドミントン
- <レフェリー>
- 大相撲(行司と勝負審判)、バレーボール、ラグビー、レスリング、
- <ジャッジ>
- フィギュアスケート
- <アンパイア と レフェリーが両方いる>
- アメリカンフットボール *レフェリーの権限の方が大きい
- テニス *レフェリーは巡回制で権限が大きい
- <レフェリー と ジャッジがいる>
- ボクシング
- <不在>
- カーリング、ゴルフ、テニス(小規模な大会)
【語源】
- アンパイア(umpire):フランス古語noumperea(平等でない人 ) あるいは numpire
- レフェリー(referee):英語でreferされる人(判断や問題を任せ/委ねられた人)
- <参考>行司(ぎょうじ):『事を執り行う人』➡『行事』➡『行司』
- ジャッジ(judge):フランス古語 juge で裁判官
【配置と動き】
- アンパイア:主に競技エリア外で移動しない
- <例外>野球の塁審(フィールド内で移動もする)
- ジャッジ:競技エリア外で着席
- レフェリー:主に競技エリア内で移動する。
- *プレイヤーの間に入ったり、身体に触れる場合もある
- <例外>テニス(複数のコートを巡回制)、バレーボール(コート外で移動もしない)
【サッカーにおける歴史】
- 『審判なし』(『両チームのキャプテン』が試合をコントロールしていた)
- 『キャプテンからのアピール』を『フィールド外』から判定する『アンパイア』が『両チームから』出されるようになる
- *第三者の立場だが、実際は対戦チーム両方から出された利益代弁者。
- アンパイアの判定が対立した場合の『調停者』として、『フィールド外にレフェリー』が配置される
- 『アンパイアがフィールド内』に入るようになる
- 『レフェリーがフィールド内』に入り、『アンパイアはフィールド外』に出て『ラインズマン(ラインジャッジ)』に変化
- 『ラインズマン➡アシスタントレフェリー』に名称変更
【それぞれの役割を品詞で見ると】
- アンパイア:be umpire(be動詞+名詞)
- ジャッジメント:judgement(名詞)
- レフェリング:referring(動名詞)
【まとめ】
- アンパイア:線引きに基づいて結果を宣言する『身分』にある人
- *ワンプレー毎に切れ目があり、反則が同時に起こりにくい、非コンタクト(非接触型)スポーツで多いか?
- ジャッジ:競技の出来(映え)を点数化する役割
- レフェリー/行司:調停者として試合を成立させる(場合によっては止める)人
- *継続型のコンタクト(接触型)スポーツで多いか
- *プレー中に声掛けをする場面も多い
【補足】
- 『ネット分離型スポーツ』でありながら、ネット上では至近距離(ボール1個分)での攻防が頻発する(反則もネット付近で発生しやすい)『準コンタクトスポーツ』とも言えるバレーボールが、アンパイアとレフェリーの境目に位置しているか
- 審判がいなくても成立する競技がある
- <例>カーリング、ゴルフ
2024/12/08 改訂
2024/3/23 初出