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私、この山井金三が、一から十まで万字(ばんじ)丸く収めます

~ 家紋や屋号などに由来するロゴやマーク ~ 

 
企業や組織のロゴやマーク。
 
 
 
 
 
 
 
外部に対しては信用や信頼の証として、内部に対しては社会的アイデンティティや帰属意識の象徴として、大きな意味を持っている。
 
その中には、明治時代以前から存在する家紋や屋号にまで遡れる例があるので、まとめてみたい。
 
*基本的に知名度の高い企業や組織を採り上げていますが、【丸と数字】の項目については個人商店や個人事業主なども含みます
 
 
 
【丸と数字の組み合わせ】
 

      • 太田市:丸に一に”おおた” *正式には「一つ引き+おおた」

 

      • 松嶋屋(歌舞伎役者の屋号):家紋が、丸に二 *正式には「七つ割に二引」

 

      • 丸三老舗(和菓子):三連の丸から木(桐?)が伸びている

 

      • 丸桝呉服店:丸に四角い〼(桝/ます)

 

      • 丸五呉服店:丸に五 *2020年に廃業?

 

      • 丸六本店(金山寺味噌):丸に六

 

      • 丸七製茶(日本茶):丸に七丸を『品質本位』の4文字で囲む

 

      • 栗林商会(運輸):丸に七
        • *創業は明治時代だが、屋号の歴史は南北朝時代にまで遡る

 

      • 名古屋市:丸に八 *通称『まるはち』

 

      • マルキユー(釣り具・釣り餌):丸に九

 

      • 丸十パン(商工業協同組合):丸に十を『商標登録』の4文字で囲む

 

      • 千丸屋(湯葉):丸に千

 

      • マルマン(味噌):二重丸に萬 *草かんむりは左右に分割されている

 
 
 
【カ行】
 

      • 歌舞伎(家または役者個人)の屋号:○○屋
        • *100以上あるらしいので詳細は省略

 

      • カネク(わさび):曲尺(カネジャク)に九

 

      • キッコーマン(醤油):亀甲に萬
        • *その他のキッコー系の屋号:・キッコーゴ、キッコーショウ、キッコーシン、キッコーツル、キッコートキワ、キッコーナ、キッコーナン、キッコーニホン、キッコーヒメ、キッコーブ、キッコーマサ、キッコーヤマナ

 
 
 
【サ行】
 

      • 塩野義製薬:丸に分銅

 

      • 島津製作所(分析機器など):丸に十文字
        • *島津家の家紋に由来
          *鹿児島(旧薩摩藩)を中心に他業種でも『丸十(まるじゅう)』は広く使用されている

 

      • 住友系企業:井桁

 

      • そごう(百貨店):丸に”ちきり”
        • *“ちきり”は木材をつなぎ合せる杵型の木片
          *『そごう』は創業者の十合(そごう)伊兵衛より

 
 
【タ行】
 

      • 大丸(百貨店):丸に大
        • *大は孔雀を象っている、と言う説明もあるらしい

 

      • 髙島屋(百貨店):丸に髙
        • *『髙』はいわゆる『はしご髙(はしごだか)』だが、正式な漢字ではないため(異体字のため)、状況に応じ『高』に置き換えられる

 
 
 
【ナ行】
 

      •  にんべん(カツオ節/ダシ):金(カネ)にイ(人べん)

 
 
 
【ハ行】
 

      • 藤崎(百貨店/仙台):丸にヱ
        • *『マルエ』も商標登録されているらしい

 

      • ヒゲタ醤油:「上付きの入」の下に「ヒゲ付きの田」

 
 
 
【マ行】
 

      • 松坂屋(百貨店):丸に井桁に藤

 

      • 丸紅(商社):丸に紅 → 菱形にM

 

      • 三井系企業:井桁に三

 

      • ミツカン(酢):三の下に環(わ)

 

      • 三越(百貨店):丸に越 *前身は三井越後屋より

 

      • 三菱系企業: 【変遷】三階菱 + 三ツ柏 → 三角菱(現在の社名の由来) → スリーダイヤ・マーク

 

      • 三ツ矢(サイダー):三本の矢
        • *サイダー(レモネード)が日本で販売されるようになったのは明治時代だが、家紋の歴史としては平安時代にまで遡る

 
 
 
【ヤ行】
 

      • 山形屋(やまかたや)(百貨店/鹿児島):丸に岩
        • *創業者は岩元源衛門

 

      • 山本屋海苔店:丸に梅
        • *正式名称は『まるうめマーク』らしい
          *江戸では海苔の旬が梅の咲く季節だったかららしい

 

      • 山本山(やまもとやま)(茶/海苔):山に嘉
        • *創業者の山本嘉兵衛より
          *正式なマークは『山本山』
          *キャッチフレーズは「上から読んでも山本山。下から読んでも山本山」

 

      • ヤマキ(鰹節/だし):山の下にキ

 

      • ヤマサ(醤油):山の下にサ

 
 
 
【ラ行】
 

      • 龍角散(医薬品):下り藤

 
 
 
【番外】
 

      • ルイ・ヴィトン(創業はトランクやバッグ類/フランス):モノグラム・レザー
        • *現在はほとんどが合成皮革
          *ルイヴィトン自体は、日本の家紋との関係性を「諸説のうちの一つ」程度までしか認めていない

 
 
【まとめ】
 

      • 業態の変化、統合、再編などを経て、現在の正式名称やロゴとの間に乖離がある例も多い

 

      • ○(まる)、矩/金(かね)、山、井、三などが多い
        • *画数は少ない(瞬時に書ける)が、他との混同が少ない事がポイント

 

      • 四(し/よん)は少ない
        • *『桝(ます)や枡形(ますがた)』と読み替えられる事が多い

 

      • 書きやすい、見やすい、言いやすい、聞きやすいの要素を兼ね備えている物が定着したと考えられる

 

      • 現在は、屋号の読みをカタカナやアルファベットに置き換える(または併用されている)ケースも多い

 
 

改訂 2023/11/25(2回目)
初出 2021/12/4