生物の名称。
分類学上の違いがほとんど無い(あるいは完全に同じ)にも関わらず、別な名称で呼ばれている場合があるので、まとめてみたい。
【はじめに①(生物の分類法について)】
- 『界・門・網・目・科・属・種』の7段階に分れており、右に行くほど関係が近い(差が少ない)
【はじめに②(タイトルの解説)】
- トド:出世魚・ボラの最終段階。『とどの詰まり』の語源。
- オボコ:ボラの幼魚。『オボコい』の語源(と考えてほぼ間違いない)。
- イナ:オボコとボラの間。『いなせ/鯔背』の語源(と考えて間違いない)
- ボラ:イナとトドの間。『ぼられる』の語源ではありません
ア行)
- アカシア と ミモザ(植物):アカシア属の一部(花が黄色い品種?)をミモザと呼ぶらしい
- アシ と ヨシ(植物):もともとは『アシ』だが、『悪し』に通じるため忌避されたらしく、漢字ではどちらも『葦』。
- *この読み替え(忌み言葉)は、地名や人名でも多く見られる
- アヒル と マガモ (と合鴨)(鳥類):カモ目カモ科マガモ属
- アマゴ と サツキマス(魚類):完全に同種。両者とも川で生まれるが、前者は川に残り、後者は海に下った(縄張りを確保出来ず追い出された)個体。
- イヌ/犬 と オオカミ/狼:諸説あるが、『オオカミを家畜化/ペット化したものをイヌと呼んでいる』と考えるのが自然
- *交雑が可能で、その子孫にも繁殖能力がある
- イノシシ/猪 と イノブタ/猪豚 と ブタ/豚:種まで同じで、イノシシを家畜化したものをブタ、イノシシとブタを掛け合わせた物をイノブタと呼んでいる。
- *中国語ではブタとイノシシはどちらも『猪』で、区別そのものがない
- *イノブタは『ハイブリッド(掛け合わせ)』の語源となっている
- イルカ と シャチ と クジラ(水生哺乳類) :イルカとシャチ=クジラ目ハクジラ亜目で、クジラ=クジラ目ヒゲクジラ亜目
- エダマメ/枝豆 と ダイズ/大豆:正式名称はダイズ/大豆で、未成熟の段階で収穫~流通される物をエダマメ/枝豆と呼んでいる
- エンドウ豆 と グリーンピース と サヤエンドウ :【正式名称】はエンドウ/豌豆で、成熟度合いにより、【商品名】がサヤエンドウ ➡ グリーンピース ➡ エンドウ豆と変化する。
- オオカミ と コヨーテ と ジャッカル:亜種の関係にあり、交雑する事も多く、その子孫にも繁殖能力がある
- オキアミ と 桜海老(節足類):サクラエビ科オキアミ属 と サクラエビ上科サクラエビ科
カ行)
- ガ/蛾 と チョウ/蝶:昆虫綱チョウ目。イメージ的に違いを挙げる事は出来るが、それぞれの特徴とされる点には例外も多く、学術的に明確な区別がされている訳ではない。
- カレイ と ヒラメ(魚類):カレイ目カレイ科 と カレイ目ヒラメ科
- *19世紀に入るまでは、区別自体されていなかった(らしい)。
- *「左平目に右鰈(ひだりヒラメにみぎカレイ)」も全てに当てはまる訳ではない
- ガン/雁 と ガチョウ/鵞鳥
- *ガンを家畜化した物がガチョウ
- キンギョ/金魚 と フナ/鮒:どちらも、コイ目コイ科コイ亜目フナ属
- *フナ➡(突然変異)ヒブナ➡(人為的な取捨や交配)キンギョ
- キングサーモン と マスノスケ/鱒の介(魚類)
サ行)
- サクラマス/桜鱒 と ヤマメ/山女(魚類):完全に同種。両者とも川で生まれるが、前者は海で育ち、後者は川に残った個体。
- サケ/鮭 と マス/鱒(魚類):どちらも、サケ科(目)サケ亜目サケ属
- *逆に、同じ品種が生育環境によって別種のように形が変わる場合もある(ベニザケとヒメマス)
- サメ/鮫 と フカ : いずれも 軟骨魚綱板鰓亜綱
- *『フカ』の名称は食材の『フカヒレ』として用いられる事がほとんど
- 出世魚各種 【例】オボコ→イナ→ボラ→トド (地域によって変化あり)
タ行)
- タカ/鷹 と ワシ/鷲(鳥類):いずれも タカ目タカ科
- チャボ/矮鶏 と ニワトリ/鶏(鳥類):チャボはニワトリの一品種(主に愛玩用/観賞用)
ハ行)
- パプリカ と ピーマン(農作物):主に赤や黄色/苦みなし/ハンガリー語 と 緑色/苦みあり/英語
- ヒメマス と ベニザケ(魚類):完全に同種。両者とも川で生まれるが、前者は海で育ち、後者は川に残った個体。
- フクロウ と ミミズク(鳥類):いずれも フクロウ目フクロウ科フクロウ属
【まとめ】
- 流通や販売上の理由で、漁業の対象となる水生生物で多いか
- ヤマメとサクラマス、ヒメマスとベニザケのように、生育環境(川と海)によって同種とは思えないレベルで形態(特に大きさ)が変わる例もある。
2024/8/12 改訂(7回目)
2022/5/28 初出