国名や地名が冠される料理や飲み物。
その響きを聞くだけで、味や香りと共に視覚的なイメージも広がり食欲をかき立てられるが、実は別な国や地域で誕生したため、
- ①当地とは縁が無かったり
- ②当地では別な名前で呼ばれている
- ③当地のモノから独自の進化してしまった
モノ等があるので、まとめてみたい。
【ア行】
- 浅草焼き:青森に、今川焼き/大判焼きをこの名で売っている店があるらしい
- *『今川焼/大判焼き』は、形がシンプル(円形)で見立てがしやすいため、地域による名称のバラエティが非常に多様な商品
- アメリカンコーヒー:豆の煎りが浅く色が薄いコーヒー
- *「メニューの中で一番安いコーヒー」、「お替わり自由用」、「これならすぐ出てくるだろう」、「薄めて飲む」と言った安易なイメージを持たれる場合も多い
- アメリカンドッグ:串に刺したソーセージにバッター液(液状の衣)をつけて揚げたスナック
- *米国ではコーンドッグ(衣にもトウモロコシ粉を使う?)と呼ぶらしい
- アンデスメロン:(株)サカタのタネが開発した品種
- *由来は、安心です→アンシンデス→アンデス
- イギリスパン:食パンの中で、上面が山型になっているタイプ。
- *イギリスの『plain loaf(味付けなしの塊パン)』や『tin bread(型パン)』が原型のようだ
- *そもそも『イギリス』も『パン』もポルトガル語由来のため、英国では通じない
- インドカレー(特にビーフ/ポーク):ソース(専用ポッド入り)とライスが分けて供される高級なイメージ
- *インドでは宗教上の理由で牛肉や豚肉が入った物は極めて例外的
- *カレー/カリーと言う言葉自体、インド料理全般を差す英語
- インド焼きそば:日本のインド料理店で見た事がある
- *インドでは、中国由来であることが明白な『チョウミン』(漢字表記は恐らく『炒麺』)と言う料理が、存在するらしい。
- 印度りんご/インドリンゴ:青森原産の林檎の品種
- *由来については複数説あるが、国名のインドではなく米国のインディアナ州に関連していると考える方が有力。
- ウインナーコーヒー:ホイップクリームが乗った(あるいは添えられた)コーヒー
- *『ソーセージ付き(入り)コーヒー』と言う、嘘の情報を信じ込ませるイタズラもある。
- *ウインナーソーセージやウインナーワルツは本当にウィーンに由来している
- オランダケーキ:長崎の焼き菓子(カステラベース)
- オランダ煎餅:北海道の焼き菓子
- *長崎の『オランダ焼き』からの派生品らしい
- オランダ焼き:①長崎の焼き菓子(ワッフル) ②秋田の焼き菓子(ハムとチーズ入りの大判焼き)
【カ行】
- ガーナチョコレート:ロッテの定番商品(ミルクチョコレート)(1951年発売)。
- *開発にはスイス人が深く関わった
- *サブブランドやコラボ商品も多数
- 関東煮(かんとうだき/かんとだき/グワンドンヂュー):『おでん』の事を関西や台湾ではこう呼ぶ
- *台湾には『オレン(黑輪)』と呼ばれる、魚の練り物を煮込んだ料理もある
- 広東麺:五目あんかけが乗った中華汁そば
- キューバサンド:キューバの bocadito(ボカディート)と呼ばれている料理が、移民により米国のフロリダに持ち込まれ、そこでアレンジされたものらしい
【サ行】
- 薩摩揚げ(さつまあげ):魚のすり身の小判型の揚げ物
- *鹿児島(旧薩摩藩)では『つけ揚げ』と呼ぶらしい
- *『てんぷら』と呼ぶ地域も多い
- ジャワカレー:大人向け辛口カレールーの定番ブランド
- *インドネシアでも『ハウスのジャワカレー』は入手可能とは思われる
- シシリアンライス:大分名物
- *ライバルは、長崎のトルコライスか?
- シベリア:カステラで羊羹を挟んだケーキ。
- *昔ながらの洋菓子店やパン屋で見かける事がある(2019年時点)。
- ジャーマンドッグ:ドトールコーヒーの商品(1980年発売)
- ジャーマンポテト:ビアレストランで見る率が高いジャガイモ料理
- *現地は通じないが、ジャガイモ、ベーコン、バターを使った料理自体はある模様。
- ジャワカレー:大人向け辛口カレールーの定番ブランド(ハウス食品/1968年発売)
- *インドネシアでも入手可能とは思われる
- シンガポール卵焼き:伊藤ハムが関西を中心で販売している『ポールウインナーソーセージ』を『芯』にして卵の薄焼きを巻いた料理で、『芯がポール卵焼き』と言うダジャレ。
- スイスロール:ロールケーキの別名。
- *山崎製パンが1950年(代)に発売した商品が始まりである模様。
【タ行】
- 台湾焼きそばのタレ(味仙本店監修):ミンチ肉入りの辛いソース
- *次述 『台湾ラーメン』からの派生商品のようだ
- *ニラともやしを加えるのが定番のようだ
- 台湾ラーメン:名古屋にある台湾料理店の看板メニュー
- *台湾には『名古屋(式)台湾麵』や『名古屋麺』として、ブーメラン現象の形で認知されている。
- *原型は『(天秤棒を)担いだ売り子』に由来する、『担仔麵(タンツーミィエン)』と考えて間違いない。
-
餃子の王将の店外看板より/2023年7月撮影
- 天津飯(てんしんはん):ご飯の上に蟹玉(カニ入り卵焼き)を乗せた中華式どんぶり料理
- *日本式中華料理の代表格
- 天津甘栗(てんしんあまぐり):釜煎りした栗で、殻をむきやすいのが特徴
- *天津は栗の集積地として有名(だった)らしい
- チロルチョコ:駄菓子系のチョコレート
- *チロル(地方)はオーストリアとイタリアに跨がる山岳地帯
- デンマークチーズケーキ:固めのスポンジケーキの上にチーズを乗せて焼き目をつけた温かい洋菓子
- *神戸発祥らしい
- トルコライス(洋食):揚げ物、ご飯類、パスタなどを(基本は3種類)盛り合わせたワンプレート料理で、長崎の名物として知られる。
- *名称の起源には諸説ある
【ナ行】
- ナポリタンスパゲティ:茹でスパゲティを炒めてトマトケチャップで味付けした料理
- *『日本式イタリアン』あるいは『イタリア人から見た邪道イタリアン』の代表格
- *横浜で考案(命名)され、喫茶店や洋食堂のメニューとして定番化している
【ハ行】
- バイキング料理:セルフサービス式の定額食べ放題
- *ビュッフェやブッフェと呼ぶケースが増えている
- バーモンントカレー:甘口カレールーの代表的ブランド
- *「りんごとはちみつとろ~りとけてる」のキャッチフレーズで国民食と化している
- *ところでバーモント州ってどこ?
*<姉妹品(2021年5月現在)> - 味付カレーパウダーバーモントカレー味、、バーモントハヤシ、まもり高める乳酸菌L-137バーモントカレー、塩分ひかえめ(25%オフ)バーモントカレー<中辛>、プライムバーモントカレー<中辛>、はじめて食べるバーモントカレー<やさしい甘口>
- 北極のアイスキャンデー/北極アイス:アイスキャンディ
- *大阪の味(らしい)
- 冷やし中華:細切りの具材を立体的に乗せた冷麵で、酢を効かせた少量のスープを絡めて食べる
- *中華圏の涼麵(リャンミィェン)や拌麵(バンミィェン)をアレンジした可能性が高い
- フレンチトースト
- *米国発祥の呼び名らしい。人名(料理人の姓)由来説もあり。
- フレンチフライドポテト/フレンチフライ:いわゆるポテトフライ
- *フランスでは通じないと言うか、「この程度の料理に自国の名前を使わないで欲しい」と思っている模様
- ベルギーロール:チョコレートコーティングされたロールケーキ
【マ行】
- ミラノ風ドリア:マカロニグラタンのマカロニをご飯に代えた上、ミートソースを加えた洋食。
- *ドリア自体も横浜発祥らしい
- ミラノサンド:ドトールコーヒーのロングセラー商品(1993年発売)
- *パニーニをモデルにしたか?
- 明治ブルガリアヨーグルト:日本におけるプレーンヨーグルトの先駆け、かつ代表的ブランド
- *発売当時(1971)はブルガリア政府(大使館?)から国名の使用が認められず、「明治プレーンヨーグルト」と言う名称だったらしい
- メヒコピラフ:シーフードレストラン『メヒコ』の看板メニュー(らしい)
-
シーフードレストラン『メヒコ』の屋外額 / 2024年9月撮影/東京都区内
- メリケン焼き:大阪の『粉もの料理/コナモン(?)』で、お好み焼き、明石焼き、たこ焼きなどの原型か?
- *メリケンはアメリカンの事で、ハイカラかつ贅沢なイメージがある言葉
- モンブラン:栗のペーストを上部に乗せたケーキ
- *モンブランはもともとフランスとイタリアにまたがる高山の名前で、直訳すると『白い山』
- *現在ではさらに色のバリエーション(紫や緑など)が増えている
【ラ行】
- ラ・フランス:洋梨の品種。フランス原産だが、現地では絶滅しており、日本が最大の生産国となっている
- ロシアンティー:ジャム(主にイチゴ)入りの紅茶
- *ロシア内でもベリー系果実の砂糖煮をお茶菓子として食べる事はあるらしい
【番外】
- カレー:インド人にとってスパイス料理全般(=毎日のおかず)、ヨーロッパ人(主に英国人)にとって欧風インド料理の総称らしい。
- *インドで「カレー/カリー下さい」と注文するのは、日本の料理店で「食事ください」とか「料理ください」と言うのと同じ感覚か?
- *ただし、英国では、カツカレーに代表される『日本式カレー』と言うジャンルも、ある程度認知されているらしい。
【まとめ】
- 本場の人たちから見ると「なんでこうなったの?」、「本来の意味分ってるの?」、「一体どこが関係あるの?」などの疑問や抵抗感だらけなのだろうが、日本の料理や飲み物も海外で予想外のアレンジをされるケースが沢山あるので、お互い様なのだろう。
2024/5/4 改訂(16回目)
2021/5/8 初出
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