メインテナンス完璧(か?) |
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台北の中正區(ヅォンヂォンチュー)で出会った横顔。
- 【構成(横書き)】
- メイン:病院のマーク+病院名
- 下段①:診療科目
- 下段②:所在地+電話番号(○○○-○○○の7桁全て判読可能だがモザイク処理)
- 【広告の種類】
- 病院 *『聯合(総合)診所』
- 【保守状態】極めて良好
- 【視認範囲】100% *障害物ゼロ
- 【広告効果】あり *案内や目印の意味合いも大
【考察】
- 電話番号が市外局番なしの7桁(○○○-○○○)で表示されていることから、1998年以前に描かれたと推測される。
- *2022年現在は、市外局番を含めた10桁(02-○○○○-○○○○)で表示されるのが普通
文字部分のアップ。
補修(修復)された形跡があるが、『元の文字をはみ出さないようになぞっただけ』の域に留まっており、オリジナルで見られる『筆遣い(刷毛遣い)の妙』は失われている。
中山堂と言う施設がある広場に面しており、筆者が台北市内で出会った中(2018年~2022年)において、最高の保守状況と設置条件にある。
1956年創業 |
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台北の萬華區(ワンファーチュー)で出会った横顔。
- 【構成(縦書き)】
- 右:大黒松小倆口
- 中央:○餅専線 ○○○○22
- 左:○中出祖+電話番号(全て判読可能だが一部をモザイク処理)
- 【広告の種類】
- 右~中央:菓子店(台湾ヌガーの元祖として有名)
- 左:広告募集と思われる
- 【保存状態】かなり良い
- 【視認範囲】100%(ただし角度は限られる)
- 【広告効果】若干あり
【考察】
- 大黒松小倆口のホームページによると、1956年に紅豆湯(おしるこ)店として創業し、1983年より菓子店に転業(事業拡大)したと明記されているので、この広告は1983年以降に描かれた可能性が高い。
- この下に、別な広告が隠れている可能性もあり
8基ある照明設備の痕跡から、むしろ夜間にこそ存在感を放っていた事が想像出来る。
画像の中心部が広告だが、撮影時点(2022年)では、周囲のビルや街路樹に埋没する形になっており、広告である事を認識している人は(筆者のような物好きを除き)皆無と思われる。
男の顔 |
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台北の萬華區(ワンファーチュー)で出会った横顔。
- 【構成】
- 中央:男性の顔のイラスト(目元と鼻の部分)
- 右端:文字とQRコード
- ○從○看見
- ○去改變
- *○部分は上塗りで意図的に消されている模様
- 福祉基金の紹介サイト
- *QRコードは読み取り可能だが、筆者がモザイク処理
- 【広告の種類】不明
- 【保存状態】良好
- 【視認範囲】100%
- 【広告効果】不明。ただしインパクトは大。
【考察】
- 映画をテーマとした臺北市電影主題公園(筆者訳:台北市映画テーマパーク)に面しており、アート作品スペースとしてビルの側面が公的に提供された可能性も大。
- 実際、このビルは映画館として稼働中。
バイク用品? |
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台北の萬華區(ワンファーチュー)で出会った横顔。
- 【構成】
- 左サイド:文字
- 機車専用(以降不明)
- 独國國営
- 亞(以降不明)
- 中央~右サイド:イラスト
- 右向き(?)のバイク
- 【広告の種類】文字情報からバイク(機車)用品と推測される
- 【保存状態】剥離が進んでいる
- 【視認範囲】最大100%
- 【広告効果】皆無(内容不明)
【考察】
- 肉眼では、イラスト部分に右向きの大型バイクが描かれているように見えた。
- 上塗りした塗料が剥落して、隠れていた広告が再出現した可能性もある。
体操着と印刷業 |
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台北駅に近い大通りで出会った横顔。
【上段(3~5階部分)】
- 【構成】
- 左サイド:白い体操着を身につけた男児のイラスト
- 中央~右サイドで判読可能な内容
- 体開操服装
- 中興紡績織(績?)公司
- 同社のマーク?
- 【広告の種類】児童用の体操着?
- 【保存状態】剥離および退色が進んでいる
- 【視認範囲】最大100%
- 【広告効果】皆無(製品自体が販売されているか不明)
【下段(2階部分)】
- 【構成】
- 左上:(不明)具印刷公司
- 左下:辦公用品
- 右:ーーー *広告募集のシートが貼られている
- 【広告の種類】印刷業 および オフィス用品販売業
- 【保存状態】良い。見える部分の文字・数字が全て判読可能。
- 【視認範囲】最大50%
- 【広告効果】皆無(広告主が現存しているが不明)
【考察】
- 新しいビルへの建て替えが進んでいるエリアなので、直描き広告はほとんど絶滅しており、残っていたとしてもシート式の広告で隠されている率が高い。
- 色使いは鮮やかで、往時はかなり目立っていたと思われる。
画像処理を行った結果、体操着を身に付けた子供(恐らく男児)の姿が浮かび上がった。
かなり剥離が進んでいる。
想像力をフル動員しても、往時の姿をイメージする事は難しい。
塗料が壁に定着している。
風雨や光の影響も比較的少ない位置にあり、保存状態は良好。
ほぼモノトーン |
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古めのビルが並ぶ通りで垣間見た横顔。
- 【構成】
- 5段?
- コンクリートに白文字+一部赤色
- 【広告の種類】自動車とオートバイ関係か?
- 【保存状態】かなり劣化が進んでいる
- 【視認範囲】最大100%(ただし見える角度は極く限られる)
- 【広告効果】皆無(存在自体がほとんど認知されにくい)
- 【考察】
- 現在も『三陽機車』および『機車修理』と記した看板が一緒に掲げられており、実際にオートバイ/スクーターの修理・整備店が営業している事から、自動車とオートバイに関係した広告である可能性が高い。
- 風雨や太陽光の影響を受けにくい範囲は、ある程度文字の推測が可能。
【記載情報】
- 1段目左(縦書き):●●公車 *公車=バス
- 同 中央(縦書き):●●瓦斯 *瓦斯=ガスのこと
- 同 右(縦書き):●●乙●
- 2段目:不明 *文字(?)の痕跡あり
- 3段目:TEL数字5桁(?)+数字5桁(?) *モザイク処理済
- 4段目:不明 *文字(?)の痕跡あり
- 5段目:不明 *赤色塗料の痕跡あり
電気屋 |
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台北の旧市街に分類される萬華區で出会ったビルの横顔。
- 【構成】
- ベース色は黄色
- 左サイド約60%が文字(緑色)
- 右サイド約40%がイラスト
- 【広告の種類】電気屋の看板(と思われる)
- 【保存状態】風化中(放置状態)
- 【視認範囲】100%(周囲の建て替えも無い模様)
- 【広告効果】皆無(店自体が存在していない模様)
- 【考察】
- 『三洋』の文字が右から左に書かれていたり、上塗り(塗りつぶし用)塗料自体も剥離している事から、1970年代以前に描かれたと推測される。
【左サイド】
- 1段目:洋三 *右から左へ書かれている
- 2段目:●SANYO
- 3段目:?????機 *塗りつぶさた形跡あり
- 4段目以下:不明 *塗りつぶされた形跡あり
【右サイド】
- 角形の家電イラスト
- *テレビか? 電子レンジの可能性もあるが、時代的にまだ早かったか?
婚礼写真館 兼 貸衣装店 |
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台湾鉄道の台中駅近くで出会ったビルの横顔。
- 【構成】
- 建物の側面が3つのエリアに区分されており、両サイドに直描き広告がある珍しいパターン
- 【広告の種類】婚礼写真館
- *2軒の写真館と貸衣装店の広告が同居している可能性もあり
- 【保存状態】悪くない(ジャンルが推測可能。特に所在地の文字は鮮明。)
- 【視認範囲】90%程度(歩行者からは、どこから見ても一部は遮られる)
- 【広告効果】皆無(広告元が営業しているかも不明)
- 【参考】日本の写真館やフォトスタジオでも、元々は貸衣装店だったと言う例がある。
【右サイド】*縦書き
- メイン:國王禮服
- 右側:發?囍?技術・品質保○ *末尾は隠れているが『證(証)』で間違いない
- 左側:所在地 *鮮明
【左サイド】
- 一段目:貴?族?品/贔?味 *左半分は広告募集の貼付式広告
- 二段目:判読不能 *上塗りされている?
- 三段目:判読不能 *上塗りされいる?
- 四段目:○影 *禮服
- 五段目:所在地(3行)*鮮明
婚礼写真館? |
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台北には『婚紗街(フンシャジェ)』と呼ばれるブライダルフォトスタジオが集まるエリアが2つ存在しているが、その一つである『愛国東路』エリアで出会ったビルの横顔。
*もう一つは中山北路エリアに存在している
- 【構成】
- <画像中央部(横書き)>
- 一段目:何らかのマーク *ピップ(エレキバン)!のシンボルに似ている?
- 二段目:判読不能
- 三段目:判読不能
- 四段目:○影 *撮影?
- 五段目:判読不能
- 六段目:美髪
- <画像右サイド(縦書き)>
- メイン:小時服務 *『1時間対応』の意味
- サブ:三色の横ライン *緑、赤、?
- 【広告の種類】婚礼写真館(と推測される)
- *『ブライダルフォトスタジオ』より前の時代
- 【保存状態】中央部:悪い、右サイド:良好
- 【視認範囲】約95%*歩行者として、どの角度から見てもどこかが隠れる
- 【広告効果】皆無
愛国東路エリアのブライダルフォトスタジオ街は、1980年に落成した中正紀念堂が、婚礼写真の撮影スポットとして人気になった事をきっかけとして、発生したと言われている。
表面の劣化具合と(垢抜けない)全体構成から、この広告は1980年代、遅くとも1990年台に描かれたと推測される。
一部には上書き(塗りつぶし)された形跡もあり、スマホレベルで最大限の画像加工を行って、ようやく3文字(影、美、髪)が範読可能になった。
情報量は少ないが、エリア的特徴とキーワードから、婚礼写真館の広告だったと見て間違いないだろう。
別な場所で開業中 |
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観光スポットとして有名な龍山寺の裏側(北西)にあるビルの横顔。
- 【構成】
- 一段目:公保・勞保・農?保・普?保
- 二段目(メイン):楠桐中醫院
- 三段目:附設:救護車服務 住院部設備
- 四段目:電話番号 *8桁
- 【広告の種類】中国医学(漢方)の診療所
- 【保存状態】かなり良い部類
- (内容判読可。色彩がはっきりしている。剥離なし。)
- 【視認範囲】99%*街灯で一部が隠れる
- 【広告効果】あり*ただし、実際に開業しているのは別な場所
中華感のある診療所の広告(案内)。
調べると、台北市内の別の場所で楠桐中醫診所として現在も開業中の模様。
- *電話番号が8桁から10桁になっているが、中核部分の7桁が共通
- *可能性として考えられるのは・・・
- ①当地で開業した後で移転した
- ②もともと広告だけを人が多く集まる場所に出した
電話番号が8桁(現在は10桁)である事からかなり古い時期に描かれたと思われるが、文字と地色の赤(紅)が明確で剥離も無いため、画像補正をしなくても内容判読が可能。
屋外、垂直面、与えられたスペースに合わせた文字配置、足場の上など厳しい条件にも関わらず、これ程のクオリティで描いた/書いた職人は、相当な腕を持っていたのでろう。
文字部分は少し劣化しているものの、逆に筆(実際は刷毛?)の確実かつ力強い流れが見て取れる。
また、赤地の上に白で文字が書かれた事(順番)も分かる。
二面構成(横顔と裏の顔) |
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剣潭(ジェンタン)駅を出て、士林夜市に向かうと見えるビルの横顔。
- 【構成】
- 右の行:○○○○優?
- メイン:○○文理補習
- 左の2行:所在地と電話番号
- 【広告の種類】進学塾あるいは予備校
- 【保存状態】良い部類(内容が判読可能)
- 【視認範囲】最大で45%程度
- *近くに寄るほど前にある別な看板で見えにくくなる。
- 【広告効果】わずかに残存。
- *ただし、広告主自体が事業継続しているかは不明
青地に文字だけで構成されたシンプルな構成。
『受験と言う目標に向かってひたすら邁進する』と言う姿勢に合致していると感じる。
上部は剥落しているが、残存部分は画像加工無しでも内容が判読可能。
同じスタイルの広告がビルの裏面にも描かれている『2面構成』は、他に例を見ない。
- 【広告の対象】
- 横顔(側面):歩行者向け
- 裏の顔(裏面):鉄道利用者向け
『裏の顔(裏面)』は当コーナーの対象外なので分析はしないが、鉄道施設が前面にある事で風雨の影響が比較的受けにくい為、保存状態は横顔(側面)より格段に良好だ。
法務相談はお気軽に? |
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オフィスや住居などが雑居している(と思われる)ビルの横顔。
- 【構成】
- 上段:書○○○○
- 中央:手を繋いだカップルのイラスト
- 中段右:向前走27歩
- 下から3段目:服(務)専線 557○○
- 下から2段目:台北(○公司) 延平○○…段○…2○2号
- 最下段:中○(分公司) ○○……民路
- 【広告の種類】法務関係の事務所と思われる
- *日本の司法書士や行政書士業に近いか?
- 【保存状態】かなり良い(色彩の鮮やかさが想像出来る)
- 【視認範囲】90%程度
- *近くに陸橋があり、ほぼ正面から撮影出来た
- 【広告効果】わずかに残存。
- *ただし、広告主自体が事業継続しているかは不明
往時の華やかさが十分に想像出来る保存状態。
結婚の登記に向かう(幸せな)カップルが描かれているようだ。
また、画面手前の趣ある建物は1927に開業した医院で、現在は博物館になっている。
- *医院自体は移転先で稼働中の模様
『敷居の低さ』や『親しみやすさ』をアピールする内容に見えるが、現実的には心理的・金銭的な障壁が高い事の裏返しなのかも知れない。
ビル入口に掲げられいる案内板。
壁面広告と直接関係あるかは断定できないが、単体として見ても、なかなか興味深い。
- 【内容】
- 律法○○
- 書代○○
- 所務事合聯
- 電話番号(7桁) *下三桁はモザイク処理
- 同上
- 延平街○号 *数字部分が欠落
- 『書』の文字と『電話番号の一部(57)』が共通する事から、壁面広告と関係がある(あった)可能性は高いと見る。
- 事務所名が右から書かれている事、電話番号の桁が少ない(7桁)事から、画像手前の医院と同じ時期に開業した可能性も高い。
- 所在地番号が金属板ごと欠落(一桁あるいは漢字1文字)しているが、意図的にくり抜かれたようにも見える。
- *現番号は三桁なので、表示ルールが変わったか、同じ通りの別な場所から引っ越してきた可能性あり
- 所在地番号は通常、繁体字で『號』と表記されるが、『号』となっている。
横顔の半面 |
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下層部分はビジネスホテル、その上はオフィスや住居などが雑居している(と思われる)ビルの横顔。
- 【構成】
- 最上段:京書…
- 2段目:Core Secu…
- 3段目:證券○○
- 4段目:國際業務
- 5段目:服務代理・債…
- 6段目:客服専線:0…
- 【広告の種類】オフィス業務代行業(か?)
- 【保存状態】良い(見える範囲は全ての文字が判読可能)
- 【視認範囲】50%以下
- 【広告効果】
- わずかに残存。
- ただし、この業者自体が継続しているか不明
『英文タイプライターを使いこなす秘書がオフィスの花形』だった時代の雰囲気を感じるので、2000年より以前に描かれた広告だろうか。
読みやすい文字、落ち着いた色、固めの業務内容から、確実な業務を売りにしていた事が想像される。
隣のビルとは隙間があるので、近くに寄ると奥まで覗けるが、その分だけ見る角度も浅くなるので、歩道から全体像を把握する事は難しい。
案内(地)図 |
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台北で古くから繁栄してきた商業地区『萬華區(ワンファーチュー)』にあるビルの横顔。
- 【内容】
- 『時報(中國時報/中国タイムズ)本社』への案内(地)図
- *右側の柱には『中國時報』と記されている
- 【案内効果】
- 微妙
- 【備考】
- 実際の経路よりかなり簡略化されている
『中國時報』は1950年創刊の経済誌(?)『徴信新聞』をルーツに持つ、台湾における四大新聞の一つ。
画像から分かるように『時報』と略される事が多いようだ。
近づいて撮影した画像。
『中國時報』への移行が1968年との事なので、最長で54年前(2022年時点)に描かれた可能性もあるが、恐らくはその後『時報』の略称が定着するようになってから描かれたと思われる。
色彩や職人の筆(刷毛)使いは十分に残っている一方、剥離が進んでいる事も分かる。
まだまだ現役(?) |
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台北の繁華街『中山(ヅォンシャン)』にあるホテルの横顔。
- 【構成】
- 最上段:紫園
- 2段目:HOTEL
- 3段目:日宿
- 4段目:休息
- 【広告効果】
- まだまだ現役 と ぎりぎり現役の間
3~4段目が『右寄せの縦書き』になっているのは、『隣の建物との隙間から見える配置』を考えた結果と推測される。
尚、正面がタイルも使って『念入りにお化粧』されている一方、横顔(側面)は『ほぼすっぴん』状態で、2面が鮮明なコントラストを見せている。
目視でも文字は全て判読可能だが、画像処理するとかなり明瞭になった。
台北市内(2022年2月)
繁栄の痕跡 |
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台北市内で最も古くから繁栄したのは、海外からの交易品が運び込まれる淡水(タンシュイ)と呼ばれる川沿いに位置する数カ所の船着き場周辺で、地域同士で繁栄を競っていた。
画像の撮影場所は、その地域の一つ『萬華區(ワンホアチュー)』で、築年数を経た中層ビル(建設当時は高層に分類されたと思われる)の占める割合が高い。
- 塔の部分:枡形中の『○王』とその右肩に『Ⓡ 』 *企業ロゴ? ブランド?
- 壁面の右半分:赤抜きで『報』*新聞・出版系?
画像および目視から判読可能な情報は非常に限られているため、描かれていた内容を推測するには限界があり、ロゴ(?)と文字の関係性さえも不明だが、屋外広告および不動産として相当期間にわたって、経済的価値を生み出していたであろう事は間違いない。
画像処理を施しても判読出来る情報は限られる。
複数回にわたり書き(描き)換えられている可能性も高い。
台北市内(2022年2月)
絶滅確定種(ぜつめつかくていしゅ) |
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台北市内から郊外へ向かう高速道路の入口付近から見えるビルの横顔。
一部が広告誘致の上書きで隠れているが、タバコの有名ブランド『Marlboro(マールボロ)』の宣伝である事がはっきりが分かる。
縦方向に細く延びるビルの横顔はタバコのシルエットも連想させ、現在でも僅かながら広告効果を維持していると思われる。
また、Marlboroのロゴが右肩下がりに傾いている点に、制作者のこだわりを感じるのは筆者だけだろうか。
ただし、2022年現在、台湾でタバコの広告は禁止されているため、厳密には違法なのかも知れない。
いずれにしろ、今後消去される事はあっても修復される可能性はゼロの、絶滅種である事だけは間違いない。
- 左:高速道路のランプ(傾斜路)を登ると視界の右手に広告が入ってくる位置関係になっている。
- *付近の陸橋から撮影
- 右:反対面にも同じ広告が描かれており、高速を降りる場合は左手に見える。
- *歩道から見上げる形で撮影
- *実際に車道から目視した事もあり(鮮明な画像の撮影は困難)
高雄市内(2022年2月)
聳(そび)え立つ |
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高雄駅から南に延びる目抜き通り、中山一路に面する建物の横顔。
台北と比べると10階建て程度のビルでも背が高い部類に入り、建築の密度も低いので、側面広告の数は多いが、直描きの物を探す事はやはり難しい。
- 上段:広告募集中。住所。安全。路口。
- 下段:★★ ??型 ★★。耳のイラスト。助聴器、広告募集。
また、画像の下半分にも予備校や語学学校の看板が目立つが、これらは高雄に限らず、原色が多用された派手な物になりがち。
- 上段:最低2回は上塗りされた形跡がある。
- 下段:広告料は決して安くなかったと思われるが、助聴器(=補聴器)と言う商品は広告を出せば販売数が増える物なのだろうか?
台北市内(2022年2月)
隙間 |
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長安東路と言う商業ビルが多い通り面する建物の横顔。
台湾では「茶蛋(チャーダン)」と呼ばれる「お茶風味の煮卵」がほぼ全てのコンビニで年間を通して売られている程ポピュラーで、これは業務用煮卵調理器の広告と思われるが、調理器のデザイン自体は数十年(?)の間ほとんど変化がない模様。
- 上段:緑色ベース。金葉超級蛋機のイラストと商品名。
- 中段:青地に黄色文字。電話番号。*モザイク処理
- 下段:赤字に白抜き文字。「電話1本でお届けします」のメッセージ。
撮影した角度以外からでは隣のビルに隠されてしまうので、相当以前から広告効果は消失していると思われるが、風雨に直接晒されていない分、内容の大部分は判読/推測な状態に保たれている。
まあ、商品はおろか、製造会社自体も存在しているか分らないけれど…
また、ビル上部の「ビル名ロゴ」やビル3階~4階部分の「空き広告スペース」も、かなり渋い味わいを醸し出している。
原色が駆使され、相当目立つ広告だった事が想像出来る
虹色の痕跡 |
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オフィスビルの横顔。
不動産情報を見ると1982年に竣工されたようで、最長で39年前に描かれたと考えられるが、ある程度文字の判読/推測は可能。
*画像撮影は2021年12月
*目視した所、重ね書きや上塗りされた形跡はない模様
- 左上:宏?
- 左下:福??
- 右上:判読困難だが、推測は『建』か????
右下:設??? - 下段:社名や電話番号??????
全体の特徴は色使いが豊富(空色、緑、黄色、オレンジ、赤)な事で、筆者は最初に見た時、写真フィルムの広告をイメージした。
部分的な特徴は、劣化の具合に差があることで、両端とセンターラインはかなり鮮明であるのに対し、それらに挟まれた2本の縦ラインはコンクリートの地が露出している。
恐らく、壁面を流れる雨水の量が違うことによって生じたのだろう。
高雄市内(2022年2月)
両面 |
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高雄には、本土(?)と旗津(チージン)と言う細長い島(以前は半島だった物を人工的に切り離した)を5分程で結ぶフェリーがあるが、その本土側乗場に面する建物の横顔。
- 上段:○○○○○塗出健康、○康緑建材、○○塗料、認証マーク類?
- *一部上塗りされている?
- 下段:連絡先?
カラフルな色使いや「塗料」の文字からして、塗料を主力とする建材店か塗装を得意とする工務店の広告だと(だったと)推測する。
また、右の青い建物にはシート式の広告が設置されているが、その下にも直描きの痕跡が見て取れる。
しかし、なんと言っても一番の特徴は、横顔が両面とも直描きになっている事で、しかも広告の対象までも同一であるのは、極めて珍しい。
上の写真の反対面(海側/南向き)。
- 上段:認証マーク類?
- 中段:健康緑建○、○○塗料、認証マーク類?
- 下段:電話番号?
高い位置に限定して描かれており、海上からの視認性を重視している(いた)と思われる。
一応現役 |
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老朽化が目立つホテルの横顔。
竣工時から手入れされた形跡がないものの、文字や数字はかなり判読可能で、往時はナウでカラフルな印象を与えていた事を想像させる。
- 上段:ホテル名(漢字と英語)
- 中段:ホテルが誇る設備とサービス
- 下段:電話(とFAX?)番号
正面玄関から内部を覗いたところ、薄暗いロビーとフロントに人影は見当らず、営業しているのか判断出来なかったが、ネット上での情報は存在しており、安さ(だけ?)が売りになっている模様。
📝 参考📝
- このホテルの近くに「二二八事件引爆地紀念碑(二・二八事件の引き金となった場所である事の記念碑)」が設置されている
現役 |
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現役で機能を発揮している直描き案内は非常に珍しい。
黄色、あるいは黄色と黒の組み合わせは視認性が高いので、初めての利用者でも探しやすいと思われる。
【直書き部分を拡大】
- 窓の位置を考慮してデザインされており、窓自体もアクセントになっている。
- また、右下の八角形の窓も、ホテル名の『蜂巣』に合っている。
- 建物自体は古いが、当初からこの形だったのだろうか。
【ホテルの登録証?】
- 登録番号(編號448)から開業は古いと推測されるが、ホテル全体は上手にリノベーションされ、登録証も綺麗な状態に保たれている。
- また、登録証単体としても、造り(真鍮製+打ち出し加工+琺瑯引き?)の良さと親しみやすいピクトグラムにより、レトロ感が良い塩梅に醸し出されている。
治痛○ |
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台北市内、石碑(スーパイ)駅と大病院の動線上ある商店街の横顔。
台北の中心地に比べて長く営業している店が多いようで、この広告もかなり以前に描かれたようだが、左半分に判読可能な文字が残っている。
- 上:明、マーク、通
- 下:治痛○
- 下地:黄色
総合すると、倉庫業者の屋号と医薬品(通風薬?)広告がセットになっているようだ。
調べた所、明通製藥の治痛丹散と言う解熱・鎮痛剤の広告(だった)と考えて間違いない。
また、右半分にも、下地(黄色)と文字(赤と青)の痕跡が残っており、往時はかなりの広告効果を発揮していた事が想像される。
左:全体の様子
- 駅と病院の中間で人の歩行者の数は多く、商品も豊富
右:マークを拡大
- 目玉おやじっぽいマークの下には照明設備だったと思われる痕跡(鉄筋らしき物と穴)も見える。
- 調べた所、マークの方は明通製藥のシンボルで、葫蘆(フールー/ころ)すなわちヒョウタンをかたどった物であることが確実になった。
- また、照明設備により、夜間や悪天候の時にも、この横顔は存在感を示していたと思われる。
治痛丹散(ヂートンダンサン)のパッケージ。
会社設立(1938年)当初からの商品なのだろうか。
独特のユルさとレトロ感が同居するデザインとなっている。
撒隆巴斯/サロンパス? |
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野柳漁港(イェリィゥ・ユーガン)に面する建物の横顔。
*画像右側は道を一本を隔てて漁港
野柳は近年、奇岩が並ぶ海岸がある観光地として認知度が上がっているが、それ以前からも漁港や海鮮料理店街として賑わっていたようだ。
まず、このように広告全体を正面から撮影出来る例は、高層ビルが密集している台北市内では、ほとんどお目にかかれない。
また、外洋に面している割に劣化が少なく、判読可能な文字が残っている。
- 右:散○巴斯
- 左:○消○鎮痛
- *○=判読不能
総合すると『撒隆巴斯・消炎鎮痛』、すなわち湿布薬『サロンパス』の広告であると推測され、漁や水産加工作業などで痛めたり凝った体を持つ人たちに、現在もある程度アピールしていると思われる。
- *久光製薬の台湾進出は1960年で、2021年現在、撒隆巴斯(サーロンバースー)は、台湾でも定番商品となっており、派生商品も多数販売されている。
それはともかく、なぜ右上の『散』だけが鮮明なのだろうか?
👈比較資料
- 現在(2021年)の広告でも緑色がイメージカラーになっている
牧場の恵み |
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牛乳の広告。
左から、純正、杏仁調味乳、青○汁
*○部分は判読/予測不明
隣の建物との間がわずかで、退色も進んでいるので、広告効果は皆無。
そもそも、この誠品(乳飲料)は現在、販売していないと思われる。
ペンギンとパネルヒーター |
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港町、基隆(ジーロン/国際海運上はキールン)で発見した壁面広告。
まず、上の半分が直書きのようだが、これほど広告全体が周囲の建築物に遮られずにはっきり撮影出来る例は、台北市内ではお目にかかれない。
また、基本的に暑い季節が長い台湾で、暖房機器の広告を見る事自体も珍しい。
*基隆は台湾の最北端なので、冬(12月から2月)は最低気温が10℃を切る事もあるので、暖房器具のの需要自体はある
ただ、一般的にペンギン(涼しいイメージ)とヒーター(暖房機器)はミスマッチで、ロゴに『風』の文字が入っている事から、主力は扇風機なのかも知れない。
その下、赤を基調とした『自動車担保融資の広告』は直書きではないようだが(文字が整っている、幅が建物と合っていない、全体が一律に傾いている)、基隆は国際貨物港として大型車両の通行が多いので、お土地柄が濃厚に反映されていると言えるだろう。
さらに下、クリーム色に塗られている部分も見逃せない。
ここにも、何かの手描き広告が隠れている可能性がある。
家電 |
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以前から右半分位は見えていたが、手前のビルが撤去された事で、建物全体の横顔が見える状態になっている。
恐らく、次のような経緯を経ていると想像する。
- 家電の広告が描かれた(元家電店か?)
- その後に別なものが上書きされた
- 手前にビルが出来て、広告として機能しなくなった
- 手入れされることなく放置
- 最初に描かれた広告が再び姿を現した
- 手前のビルが取り壊されて、全体が見えるようになった
家電が今より特別な物でもっと輝いていた頃、色とりどりの広告は、これを見た人たちの購買欲を強くそそった事だろう。
そして、手前の土地で建築工事が進んだ時、再び隠される事だろう。
もちろん、そのことを気に掛けるのは、筆者のような物好きだけだろう。
フレッシュ果汁 |
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以前から広告部分は見えていたが、手前のビルが撤去された事で、建物全体の横顔が見える状態になった。
果汁したたるオレンジとリンゴ(?)ジュースの直描き広告。
台北の炎天下、どれほど沢山の通行者の目引きつけ、その脚を商店へ走らせたのだろうか。
また、右側には窓が並んでいるが、以前はどれほどの光と風を室内に取り込んでいたのであろうか。
さらに左右を良く見比べると、別な2棟の建物が癒着している可能性も感じる。
いずれにしろ、新しいビルが手前の空地に建設されれば、この横顔は恐らく隠される事になると予想されるが、もともと誰も気に留めていない事だから、別にこれ以上深く考える必要もないのだろう。
緑一点 |
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恐らく、"茶"の一文字を活かす為だけに、全体が紅色に塗装されている。
商売の為か、それともお茶への愛ゆえか?
紅一点(緑中に紅一点)ならぬ、”緑一点”。
👈上と同じ建物を翌年撮影した。
隣接していた建物が火事になってしまったらしく、色合いが変化している。
お茶の店だから、茶色であることに不思議も違和感もないけれど。